eBay無在庫販売は禁止か|公式ポリシーが引いている一本の線
この記事の3行要約
- 全面禁止ではない。許されるのは卸売サプライヤーからの直送で、小売やマーケットプレイスは不可
- 条文は梱包について何も言っていない。判断軸は仕入れ先の種類と、直接配送かどうか
- 規約を守っていても、在庫切れキャンセルは取引不良率に算入されて別方向から効いてくる
目次
- 1.はじめに
- 2.eBay無在庫販売は禁止されているのか
- 2-1.「無在庫販売」と「ドロップシッピング」は同じではない
- 2-2.「全面禁止」という説が広まった背景
- 3.無在庫販売の規約が引いている線は2本
- 3-1.梱包を隠せば通る、という読み方は条文から出てこない
- 3-2.卸売サプライヤーと小売業者の区別
- 4.同じ商品を、卸と小売の両方から仕入れているとき
- 5.ドロップシッピングのポリシーには、もう一文ある
- 6.ドロップシッピング以外で、無在庫販売が当たりやすい規約
- 7.無在庫の規約を守っていても、指標で詰むことがある
- 7-1.キャンセル率1%という基準は、いまの公式ポリシーには無い
- 7-2.評価の期間が、無在庫運用では効いてくる
- 8.欠品を、キャンセルにしないための道具
- 8-1.在庫なしオプションで、出品を殺さずに止める
- 8-2.発送準備期間を、実態に合わせる
- 9.無在庫販売の規約セルフチェック
- 10.そもそも、どちらの形を選ぶか
- 11.仕入れ先を見に行く時間をどう減らすか
- 12.まとめ
- 13.よくある質問
- 14.参照リンク
はじめに
「eBay 無在庫 禁止」で検索すると、書いてあることがばらばらです。
完全に禁止だという記事があり、グレーゾーンだという記事があり、条件付きで大丈夫だという記事があります。どれも自信を持って書かれているので、読むほど分からなくなります。
この記事では、eBay の公式ポリシーの条文だけを頼りに線を引きます。条文が言っていないことは書きません。解釈が必要な部分は、解釈であることを明示します。
先に断っておくと、条文はかなり短いです。短いということは、書かれていないことが多いということでもあります。日本語の記事で見かける詳細な基準の多くは、条文には存在しません。この記事では、その「存在しない基準」も指摘していきます。
なお、無在庫販売の始め方や実務の手順は扱いません。ここは規約の話だけに絞ります。手順のほうは、別の記事にまとめてあります。
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eBay無在庫販売は禁止されているのか
先に結論です。全面的には禁止されていません。 ただし、禁止されている形が明確にあります。
eBay の「ドロップシッピング」のページには、こう書かれています。
ドロップシッピングは製品調達としても知られており、サプライヤーから在庫を購入し、出品者自身が取り扱うことなく、サプライヤーと連携して購入者に直接商品を発送します。
卸売サプライヤーから直接注文を配送するドロップシッピングは、eBay で許可されています。
そして、続けてこう書かれています。
ただし、eBay で商品を出品し、他の小売業者やマーケットプレイスから商品を購入して購入者に直接配送することは許可されていません。
条文はこれだけです。短いぶん、読み違えようがありません。逆に言えば、この 3 文に書かれていないことは、ポリシーとして定められていないということでもあります。
禁止されているのは無在庫という売り方ではなく、他の小売業者やマーケットプレイスから買って購入者へ直接配送するという特定の経路です。
「無在庫販売」と「ドロップシッピング」は同じではない
日本語の議論が噛み合わない原因は、おそらくここにあります。
日本語で「無在庫販売」と呼ばれているものには、少なくとも 2 つの形が含まれています。
| 呼び方 | 実際の動き |
|---|---|
| 手元を通す無在庫 | 在庫を持たずに出品し、売れてから仕入れ、自分で受け取って検品・梱包して発送する |
| 直送の無在庫 | 在庫を持たずに出品し、売れたら仕入れ先から購入者へ直接発送させる |
eBay のポリシーが名指ししているのは、2 つ目の形のうち、仕入れ先が小売業者やマーケットプレイスである場合です。1 つ目の形は、そもそも「購入者に直接配送」していないので、この条文の禁止行為には当たりません。
日本のセラーが実際にやっている無在庫販売の多くは、1 つ目の形です。「無在庫だから規約違反」ではありません。
「全面禁止」という説が広まった背景
なぜ「無在庫は禁止」という説が定着したのか。理由は 2 つあると考えています。
1 つは、原文の読み替えです。 英語のポリシーで禁止されているのは、他の小売業者やマーケットプレイスから購入して直接配送する形です。これが日本語に伝わる過程で「ドロップシッピング禁止」になり、さらに「無在庫販売禁止」に縮んでいきます。限定的な禁止が、範囲を広げながら伝わったという形です。
もう 1 つは、実際にアカウントが止まった事例の共有です。 無在庫でやっていたセラーが止まった、という話が回ると、原因が無在庫そのものに見えます。ただし後半で見るとおり、指標が悪化して止まる経路は、規約への適合とは別に存在します。同じ結果でも、原因が違えば対策も違います。
事例を共有する側にも、原因を正確に切り分ける材料があるとは限りません。通知に書かれている内容と、本人が心当たりのある行動が結びつくとは限らないからです。「無在庫でやっていて止まった」は、無在庫が原因だったことを意味しません。
この 2 つが重なると、「無在庫は危ないらしい」という漠然とした理解になります。漠然としているので、何を直せば安全になるのかも分かりません。条文で線を引き直す必要があるのは、そのためです。
無在庫販売の規約が引いている線は2本
条文から取り出せる判断軸は 2 つだけです。
1 本目 ── 仕入れ先は卸売サプライヤーか。 許可されているのは「卸売サプライヤーから直接注文を配送するドロップシッピング」です。禁止されているのは「他の小売業者やマーケットプレイス」から購入する形です。
2 本目 ── 購入者に直接配送しているか。 仕入れ先から購入者へ直接送っているのか、自分の手元を経由しているのか。
この 2 本を組み合わせると、4 通りになります。
明確に黒なのは 1 か所だけです。小売業者やマーケットプレイスから買って、購入者へ直接送る形。
残りの 3 つは、この条文の禁止対象ではありません。ただし「この条文に当たらない」ことと「何をしても大丈夫」は別の話です。後半で扱います。
図の左下、卸売サプライヤーからの直送が、条文で唯一「許可されています」と名指しされている形です。無在庫でやるなら、ここを目指すのが最も安全な位置になります。ただし、卸の取引を結ぶには相手が要ります。始めたばかりのセラーが、いきなりこの位置に立てることは多くありません。
だから現実には、右下の小売から仕入れて自分の手元を経由する形を選ぶ人が多くなります。条文の禁止行為には当たりませんが、工程が増え、在庫の状態を外に見に行く必要が残ります。この形を選ぶなら、その 2 つを引き受けることになります。
梱包を隠せば通る、という読み方は条文から出てこない
ここは注意してほしい部分です。
「小売サイトのロゴが入った梱包で届くのが問題だから、匿名配送にすれば許容される」という説明を見かけます。この読み方は、条文から導けません。
公式のポリシーは、梱包にも伝票にもブランド表示にも一切触れていません。禁止されているのは「他の小売業者やマーケットプレイスから商品を購入して購入者に直接配送すること」という行為そのものです。
匿名配送は、買い手からの見え方を変える手段であって、仕入れ先の種類も配送の経路も変えません。条文の 2 本の線は、どちらもそのままです。
もちろん、eBay が実際にどう検知して、どう判断しているかは公表されていません。ただ、「見つからなければ問題ない」を前提に組んだ運用は、判断が変わったときに一斉に崩れます。条文の側で安全な形を選んでおくほうが、結局は続けやすくなります。
規模が大きくなるほど、この差が効いてきます。出品が数十件のうちは、何かあっても手で直せます。数百件になってから一斉に見直すことになると、その間ずっと売上が止まります。

卸売サプライヤーと小売業者の区別
では、仕入れ先が卸売サプライヤーなのか小売業者なのかは、どう見分けるのか。
条文には定義が書かれていないので、ここからは解釈になります。実務的には、次のような違いで考えるのが素直だと思います。
| 卸売サプライヤー | 小売業者・マーケットプレイス | |
|---|---|---|
| 誰に売っているか | 事業者(再販前提) | 一般の消費者 |
| 取引の形 | 継続的な供給の取り決めがある | 都度の購入 |
| 価格 | 卸の条件 | 小売価格 |
| 直送への対応 | 事業として想定されている | 想定されていない |
継続的な供給の取り決めがあるかどうか。これが、いちばん分かりやすい違いだと考えています。売れるたびに一般消費者向けのサイトで買っているなら、それは卸ではありません。
もうひとつの見方として、相手が「あなたが再販することを知っているか」どうかがあります。卸の取引では、再販前提であることが取り決めの前提になっています。一般向けの通販サイトでの購入は、その前提を共有していません。
条文に定義が書かれていない以上、ここは自分で説明できる形にしておくしかありません。「なぜこれが卸の取引なのか」を一文で言えるかどうかを、自分への確認にしてみてください。言えないなら、卸ではない可能性が高いです。
なお、この記事では個別のサイト名を挙げて「ここは大丈夫」「ここは駄目」という判定はしません。同じサイトの中に卸の取引と小売の取引が混在することもありますし、サイト側の業態が変わることもあるからです。判断するのは、自分がその仕入れ先とどういう取引をしているかです。
仕入れ先の業態ごとの性質については、別の記事にまとめています。
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同じ商品を、卸と小売の両方から仕入れているとき
卸と小売が混ざっていても、条文の判定は 1 件の注文ごとに行います。条文の読み方で迷いやすいのが、この形です。
定番品を卸から継続的に仕入れているが、卸が欠品したときだけ小売のサイトで買って埋める。1 つの出品の中で、注文ごとに仕入れ先が変わるという状態です。
ここで押さえておきたいのは、条文の 2 本の線が引かれているのは出品ではなく、その取引に対してであるということです。禁止されているのは「購入して購入者に直接配送すること」という行為なので、判定の単位は 1 件の注文になります。
つまり、「ふだんは卸から仕入れているから」という説明は、小売から埋めた注文には効きません。その注文だけを取り出したときに、どこから買って、どう送ったのかで決まります。
実務としては、次の 2 つになります。
記録を注文単位で残す。 どの注文をどこから仕入れて、どこから送ったのか。出品単位でしか記録していないと、あとから自分でも説明できません。
小売から埋めた分は、自分の手元を経由させる。 卸からの分を直送にしている運用でも、埋めた分だけは経路を変える必要があります。ここを揃えてしまうと、条文が名指しする形になります。
逆に言えば、仕入れ先が混ざっていること自体は、条文の禁止行為ではありません。禁じられているのは行為であって、仕入れ先の構成ではないからです。混ぜること自体を避けるのではなく、混ざったときに経路のほうを変える、と考えてください。
ドロップシッピングのポリシーには、もう一文ある
禁止の話ばかりが引用されますが、ポリシーには重要な一文が挟まっています。
出品者はドロップシッピングを使用する場合も、出品に記載されている期限内に安全に商品が配送されること、購入に関する購入者の全体的な満足度に責任を負うことにご留意ください。
責任は移らない、と書いてあります。仕入れ先を挟んでも、購入者との契約はセラーとの間にあるからです。
仕入れ先が送るのだから遅れたのは仕入れ先の責任、という言い分は通りません。発送準備期間として自分で宣言した日数の内側で届く状態を作るところまでが、セラーの責任範囲です。
この一文は、許可されている形(卸売サプライヤーからの直送)にもかかっています。合法な形でやっていても、遅れれば指標に出ます。
もう少し踏み込むと、この一文は「在庫を持たないことのコストは、誰かが払う」という話でもあります。手元に在庫があるセラーは、仕入れの時点でリスクを引き受けています。在庫を持たない形は、そのリスクを後ろへ倒しているだけで、消してはいません。
倒した先で受けるのが、欠品と遅延です。ポリシーは、それをセラーの責任として明記しています。
ドロップシッピング以外で、無在庫販売が当たりやすい規約
ドロップシッピングのポリシーに合っていても、無在庫という売り方は、別の 3 つの規約にも触れやすい形です。どれも無在庫を名指ししたものではありませんが、手元に商品が無いことから起きます。
| 規約 | 無在庫で当たりやすい場面 | 条文の要点 |
|---|---|---|
| 予約商品に関するポリシー | 発売前の商品を、入荷を見込んで出品する | タイトルと説明に予約商品であることを明記し、購入後 40 日以内(英語版では 40 営業日)の発送を保証する。発送可能日を記載し、発送準備期間には商品を取得する時間を含める |
| 重複出品に関するポリシー | 仕入れ先ごと・カテゴリごとに、同じ商品の出品を分けて作る | 同一商品の固定価格出品は、同じ出品者が同時に 1 つまで。異なるカテゴリや異なるユーザー名で出すことも含む |
| 知的財産に関するポリシー | 仕入れ先の商品ページの写真や説明文をそのまま使う | 他のウェブサイトやメーカーのサイト、第三者のカタログの文章や画像を、所有者の許可なく使うと著作権侵害になる。出品用の文章と写真は自分で用意する |
3 つ目は、手元に商品が無い以上、構造的に起きやすい形です。自分で撮れないから仕入れ先の写真を借りる。写真を撮るために一度手元に置く工程は、この規約の側からも求められていると読めます。なお、eBay の製品カタログに登録された商品として出品する場合は、公開済みの画像や製品の詳細を使えると、同じポリシーに書かれています。
予約商品のポリシーは、発送準備期間について「出品者が商品を取得するのにかかる時間」を含めるよう求めています。取得の時間を日数に入れるという考え方は、発売前の商品でなくても、無在庫の日数の決め方そのものです。
3 つの規約には、共通する一文があります。守られていない場合、eBay は出品その他のコンテンツの削除、警告、アクティビティの制限、アカウント停止などの措置を取れる、と書かれています。ドロップシッピングのポリシーにも、同じ一文があります。
無在庫の規約を守っていても、指標で詰むことがある
規約に合った形で売っていても、在庫切れのキャンセルが取引不良率に積み上がれば、標準以下の判定を受けます。ここは規約の話と同じくらい大事な部分です。
無在庫販売でアカウントが厳しくなるとき、原因は「無在庫だったから」ではなく、在庫が切れた商品に注文が入って、キャンセルしたからであることが多くなります。
流れとしてはこうです。仕入れ先で商品が消える。出品はそのまま残っている。注文が入る。仕入れられないのでキャンセルする。これが取引不良として記録される。在庫を持たない運用では、この経路が構造的に開いています。
規約への適合は入口の条件で、ここは続けるための条件です。入口を通っただけでは、中で止まります。
キャンセル率1%という基準は、いまの公式ポリシーには無い
日本語の記事で「Cancellation Rate を 1% 未満に保つ」という基準をよく見かけます。現在の eBay の出品者基準に、この項目はありません。
公式が定めている最低限の基準は 2 つだけです。
| 項目 | 最低限の要件 |
|---|---|
| 出品者が解決せずに終了したサポート案件 | 2 件(または取引の 0.3%)以下 |
| 取引不良率(Defect Rate) | 取引の 2% 以下 |
そして、取引不良の定義にこう書かれています。
eBay は以下のいずれかの場合に取引不良としてカウントします。出品者が予期せず注文をキャンセルした場合(在庫がなかった、他の人に販売したなど)。購入者が問題を報告したが、出品者が解決しない場合。
在庫切れによるキャンセルは、キャンセル率という別の指標ではなく、取引不良率に算入されます。基準は 1% ではなく 2% です。
さらに、緩和条件もあります。
4 人以上の異なる購入者に関連する取引不良がある場合にのみ、標準以下と評価されます。
同じ買い手からの複数注文をまとめてキャンセルしても、それだけで標準以下にはなりません。ただし、無在庫運用の欠品は別々の買い手にばらけて起きるので、この保護はあまり効きません。
「発送遅延率が 5% を超えると警告」という説明も見かけますが、公式は「発送遅延率が高いことによってアカウントが標準以下と評価されることはありません」と明記しています。発送遅延率は最高評価出品者になるための要件(5 件または取引の 3% 以下)として使われる指標です。
評価の期間が、無在庫運用では効いてくる
もうひとつ、押さえておく仕様があります。
過去 3 ヶ月の取引が 400 件以上である場合は、すべての取引をカウントします。過去 3 ヶ月の取引が 400 件未満である場合は、過去 12 ヶ月のすべての取引をカウントします。
評価は毎月 20 日です。取引数が少ないうちは、過去 12 か月がまとめて対象になります。分母が小さいので、数件のキャンセルでも率が跳ねます。
始めたばかりの時期に無在庫で数を出して、欠品を何件か出す。この組み合わせがいちばん危険です。分母が育つまでは、1 件の重みが大きいということを意識してください。
しかも、この期間は長く続きます。過去 3 か月の取引が 400 件に届かない限り、評価の対象は過去 12 か月です。3 か月前に出した欠品が、1 年近く分母と分子に残り続けます。やらかしても、次の月には消えるという感覚で運用すると、実態とずれます。
逆に言えば、取引数が増えるほど 1 件の影響は薄まります。無在庫で件数を伸ばすなら、伸ばす速度と欠品を止める仕組みの整備を、同じ速度で進める必要があります。
この判定を受けると、パフォーマンスが向上するまで落札手数料の追加請求など、出品状況に関する制限が課される場合があります。判定がどう決まるかは出品者のレベルの考え方が土台になっています。
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欠品を、キャンセルにしないための道具
売り越しを防ぐ方法は、突き詰めると 2 つです。在庫の状態を早く知ることと、在庫が無い出品を買えない状態にすること。
後者について、eBay 側に用意されている仕組みがあります。
在庫なしオプションで、出品を殺さずに止める
固定価格の出品には、在庫なし(Out of Stock)オプションがあります。
数量が 0 になっても出品は進行中のまま維持され、検索結果には表示されなくなります。数量を戻すと、また表示されます。公式は「在庫なしによる取引上の不具合を避けるのに役立つ」と案内しています。
無在庫運用との相性がいいのは、出品を終了させずに済むからです。仕入れ先で在庫切れになったら数量を 0 にし、戻ったら数量を戻す。出品そのものは生き続けるので、積み上がった販売実績も残ります。
制約は 3 つあります。
- 設定は既存および今後のすべての一括出品に適用される(無効にするまで)
- 数量が 180 日間連続でゼロなら、eBay 側で出品を終了する
- 数量を戻す操作は自分でやる必要がある
3 つ目が実務の本体です。在庫なしにする判断も、戻す判断も、仕入れ先の状態を知っていなければできません。 ここが無在庫運用の作業量そのものになります。
在庫を持つ形と持たない形で入れ替わるのは、資金が出ていく順番と、在庫の状態を誰が知っているかの 2 つです。良し悪しではなく、何を引き受けるかの違いになります。
在庫を持たない形を選ぶなら、状態を外に見に行く手当てが要ります。ここを用意しないまま件数を増やすと、規約とは別のところで詰まります。
発送準備期間を、実態に合わせる
もうひとつの道具が、発送準備期間の設定です。
無在庫では、注文が入ってから仕入れて、届いてから発送します。手元に在庫がある場合より工程が多いので、そのぶんの日数が必要になります。
何日にすべきかという目安は、この記事では書きません。自分が確実に守れる日数にしてください。 短く設定して守れないより、長く設定して守るほうが、結果的に有利になります。日数の決め方そのものは、始め方の記事で手順にしています。
なお、公式には出品者保護の規定もあります。商品の到着が遅れても、発送準備期間内に発送したことが配送業者のスキャンで確認されていれば、発送遅延率は自動的に調整されます。守れる日数で運用して、期限内に窓口へ持ち込む。この 2 つが揃っていれば、その先の輸送で何日かかっても指標は守られます。
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無在庫販売の規約セルフチェック
ここまでの内容を、確認する形に並べ直します。
項目を並べただけでは実行されないので、見る頻度も一緒に決めてください。 始める前のものは 1 回、続けている間のものは月に 1 回。それくらいの粒度で十分です。
始める前に見ること
- 仕入れ先は卸売サプライヤーか、それとも小売業者・マーケットプレイスか
- 商品は購入者へ直接配送されるのか、自分の手元を経由するのか
- 発送準備期間は、仕入れから発送までの実態に合っているか
- 仕入れ先の在庫をどの頻度で確認するかを決めているか
続けている間に見ること
- 取引不良率が 2% の内側にあるか(キャンセル率 1% ではありません)
- 未解決のケースが 2 件または 0.3% の内側にあるか
- 欠品した商品を在庫なしにできているか
- 追跡番号を発送準備期間内に登録できているか
- ポリシーの更新を見ているか
最後の項目について補足します。eBay のポリシーは変わります。この記事に書いた条文も、将来変わる可能性があります。新しい仕入れ先を追加するとき、新しいカテゴリを扱うとき、そしてポリシー関連の通知が届いたときには、原文を確認する習慣を持ってください。
日本語のブログや SNS で見かける規約の解説は、書かれた時点の内容です。更新されないまま残ることも珍しくありません。この記事も同じで、公開時点の条文をもとに書いています。判断が必要な場面では、公式ページを直接見てください。
もうひとつ。ポリシーの変更は、既に出している出品にも及びます。新しく始めるときだけ確認して、あとは見ない、という形にすると、いつの間にか線の外に出ていることがあります。定期的に見る対象として扱ってください。
出品違反の通知が来てから読むのでは、対応の選択肢が減ります。

そもそも、どちらの形を選ぶか
この記事では無在庫販売のポリシー上の線を扱いました。在庫を持つか持たないかという選択そのものは、別の記事で整理しています。
資金・時間・リスクの 3 軸で比べ、自分の制約から逆算する形にしました。切り替えの基準と、戻す場面まで扱っています。
このあと紹介している記事 (2 本)
仕入れ先を見に行く時間をどう減らすか
在庫をどの頻度で確認するか。ここが無在庫運用でいちばん時間を食う部分です。
私たちが開発している Trade Force は、商品・在庫・出品・注文・発送・売上をひとつの画面で管理する定額制の OMS(受注管理システム)です。
在庫監視ツールが仕入れ先のサイトを定期的に巡回して、在庫と価格の変化を検知し、取り込みます。見に行く作業がなくなるぶん、確認の頻度を上げても負荷が増えません。取り込んだ在庫は画面と履歴に残るので、あとから経緯も追えます。
また、どの商品をどこからいくら仕入れているのかも記録として残ります。仕入れ先ごとに何を扱っているかが 1 か所で見えるので、この記事で扱った「仕入れ先の種類」を自分で把握しておく助けにもなります。
ただし、eBay の出品をどうするかを決めるのは人です。在庫なしにするのか、価格を直すのか、出品を止めるのか。ツールが引き受けているのは、その判断に必要な変化を届けるところまでです。規約に適合しているかの判定も行いません。
まとめ
条文で言えることは、思っているよりはっきりしています。
全面禁止ではありません。 卸売サプライヤーから直接注文を配送するドロップシッピングは、公式に許可されています。
禁止されているのは 1 つの形です。 eBay で出品し、他の小売業者やマーケットプレイスから商品を購入して、購入者に直接配送すること。
判断軸は仕入れ先の種類と配送の経路です。 条文は梱包について何も言っていません。匿名配送にすれば許容される、という読み方は条文から出てきません。
判定の単位は 1 件の注文です。 卸と小売が混ざること自体は禁止されていませんが、小売から埋めた分は自分の手元を経由させてください。
責任は移りません。 出品に記載した期限内に安全に届くこと、購入者の全体的な満足度。どちらもセラーの責任だと明記されています。
そして、規約を守っていても指標で詰むことがあります。 在庫切れによるキャンセルは取引不良率に算入されます。基準は 2% で、取引数が少ないうちは過去 12 か月がまとめて対象になります。
在庫なしオプションは、規約に沿ったまま欠品をさばく道具です。 数量を 0 にすれば検索から外れ、戻せば再表示されます。ただし、切れたことと戻ったことに気づけていなければ、どちらの操作もできません。
最後に、この記事で扱わなかったことを書いておきます。個別の仕入れ先サイトについて、可否の判定はしていません。 同じサイトの中に卸の取引と小売の取引が混在することがありますし、サイト側の業態も変わり得るからです。判断の対象は、サイトの名前ではなく、自分がその相手とどういう取引をしているかです。
規約に適合しているかどうかは入口の話で、続けられるかどうかは在庫の精度で決まります。「禁止か否か」で止まらず、その先を設計してください。
よくある質問
Q1.メルカリやヤフオクで仕入れて、eBayで売るのは違反ですか
自分の手元に届けてから、検品して梱包して発送するのであれば、eBay のドロップシッピングのポリシーが名指しする「購入者に直接配送すること」には当たりません。
該当するのは、これらのサイトで購入して購入者へ直接配送させる場合です。この形は「他の小売業者やマーケットプレイスから商品を購入して購入者に直接配送すること」に当たり得ます。
なお、中古品を仕入れて売る場合は古物営業法の話も別にあります。規約と法令は別々に確認してください。
Q2.eBayの無在庫販売の規約に違反すると、どうなりますか
ドロップシッピングのポリシーは、守られていない場合の措置として、出品その他のコンテンツの削除、警告、アクティビティの制限、アカウント停止などを例に挙げています。どれが適用されるかの基準は公表されていません。
規約違反とは別に、在庫切れのキャンセルが取引不良率に積み上がると、標準以下の判定と、それに伴う落札手数料の追加などの制限を受けることがあります。規約と指標は、別々に止まる経路です。
Q3.発売前の商品を、無在庫で出品してもいいですか
予約商品に関するポリシーに沿えば出品できます。タイトルと説明に予約商品であることを明記し、購入後 40 日以内(英語版では 40 営業日)の発送を保証し、発送可能日を記載します。発送準備期間には、商品を取得する時間を含めます。
入荷日が仕入れ先の都合で動く商品では、この保証を自分で守れるかが先に問われます。入荷日を自分で確かめられない商品は、予約で出さないほうが安全です。
Q4.匿名配送を使えば直送しても大丈夫ですか
公式の条文は梱包にも伝票にも触れていません。禁止されているのは「他の小売業者やマーケットプレイスから商品を購入して購入者に直接配送すること」という行為です。
匿名配送は買い手からの見え方を変えますが、仕入れ先の種類も配送の経路も変えません。条文の判断軸はそのまま残ります。
Q5.卸売サプライヤーかどうかは、どこで判断すればいいですか
条文に定義はないので、ここは解釈になります。実務的には「継続的な供給の取り決めがあるか」が、いちばん分かりやすい違いになります。
事業者向けに再販前提で売っているか、一般の消費者に売っているか。売れるたびに消費者向けのサイトで買っているなら、それは卸の取引ではありません。
サイト名で判定するのではなく、自分がその相手とどういう取引をしているかで考えてください。
Q6.キャンセル率は何%まで許されますか
「キャンセル率」という独立した基準は、現在の公式の出品者基準にはありません。在庫切れによるキャンセルは取引不良率に算入され、その最低限の要件は取引の 2% 以下です。
あわせて、4 人以上の異なる購入者に関連する取引不良がある場合にのみ標準以下と評価される、という条件も付いています。
ただし、無在庫運用の欠品は別々の買い手にばらけて起きやすいので、この条件はあまり保護になりません。
Q7.無在庫販売はいつまで許されますか
いつまで、という保証はありません。eBay のポリシーは変わりますし、この記事に書いた条文も将来変わる可能性があります。
現実的な備えは 2 つです。ひとつは、条文の側で安全な位置に寄せておくこと。もうひとつは、規約が変わっても切り替えられる状態にしておくことです。
在庫を持つ運用に一部でも寄せておく、卸の取引先を持っておく、といった形です。すべてを 1 つの前提の上に積み上げると、その前提が変わったときに全部が止まります。
Q8.この形は規約に当たるのか、判断が付かないときはどうすればいいですか
条文の 2 つの問いに戻ってください。仕入れ先は卸売サプライヤーか。購入者へ直接配送しているか。 この 2 つに答えられれば、条文の内側か外側かは決まります。
答えられない場合、たいていは仕入れ先との取引の性質が曖昧です。「なぜこれが卸の取引なのか」を一文で説明できるかを、自分への確認にしてみてください。
そのうえで判断が付かないなら、自分の手元を経由して発送する形に寄せるのが安全です。この形は条文が名指しする「直接配送」には当たりません。
Q9.欠品したとき、出品はどうすればいいですか
在庫なしオプションを有効にしていれば、数量を 0 にするだけで検索結果から外れます。出品そのものは進行中のまま残るので、入荷したら数量を戻すだけで再表示されます。
終了させてしまうと、その出品に積み上がっていた販売実績は新しい出品には引き継がれません。入荷の見込みがあるなら、在庫なしのほうが有利です。
なお、数量が 180 日間連続でゼロの場合は eBay 側で出品が終了されます。
Q10.卸売サプライヤーとの取引を始めるには何が要りますか
条文にも要件の記載はありません。ただ、卸の取引は「再販前提で継続的に供給する」という前提を共有するところから始まります。相手が求める条件(取引の規模、支払いの条件、事業者としての登録など)は、相手によって変わります。
始めたばかりのセラーがいきなりこの位置に立てることは多くありません。そのため現実には、小売から仕入れて自分の手元を経由する形から始める人が多くなります。
条文の禁止行為には当たらない形なので、それ自体は問題ありません。ただし工程が増え、在庫の状態を外に見に行く必要が残ります。
Q11.ポリシーが変わったらどうやって気づけますか
eBay からのポリシー関連の通知と、公式のポリシーページの確認が基本になります。
タイミングとしては、新しい仕入れ先を追加するとき、新しいカテゴリを扱い始めるとき、そしてアカウントにポリシー関連のメッセージが届いたときです。
日本語のブログや SNS の解説は、書かれた時点の内容です。判断が必要な場面では、公式のページを直接見てください。この記事も同じ扱いにしてもらって構いません。
Q12.卸で欠品したので、小売サイトで買って埋めてもいいですか
仕入れ先が混ざること自体は、条文の禁止行為ではありません。禁じられているのは行為のほうなので、判定は 1 件の注文ごとに行われます。
気をつけるのは配送の経路です。卸からの分を購入者へ直送している運用でも、小売から埋めた分は自分の手元を経由させてください。ここを揃えてしまうと、条文が名指しする「他の小売業者やマーケットプレイスから商品を購入して購入者に直接配送すること」に当たります。
そして、どの注文をどこから仕入れたかを記録に残してください。出品単位でしか残っていないと、あとから自分でも経路を説明できません。
参照リンク
本記事で参照した eBay 公式のページです。ポリシーは変更されることがあるため、判断が必要な場面では必ず最新の原文をご確認ください。
- eBay ヘルプ ドロップシッピングと製品調達 — 許可される形と許可されない形、セラーが負う責任、措置の内容
- eBay ポリシー 出品者の基準 — 取引不良率の定義と基準、評価期間、発送遅延率の扱いと最高評価の要件(5 件または 3%)
- eBay ポリシー 出品者保護 — 発送準備期間内のスキャンによる発送遅延率の調整
- eBay ポリシー 予約商品に関するポリシー — 予約商品の明記、購入後 40 日以内の発送の保証、発送準備期間に取得の時間を含めること。英語版(.co.uk)は 40 営業日
- eBay ポリシー 重複出品に関するポリシー — 同一商品の固定価格出品は同時に 1 つまで、異なるカテゴリやユーザー名も含む
- eBay ポリシー 知的財産に関するポリシー — 他のサイトやカタログの画像・文章を許可なく使うことが著作権侵害になること、製品カタログの画像は使えること
- eBay ヘルプ マルチ数量出品とバリエーションのある出品 — 在庫なしオプションの挙動と制約






