eBay輸出の確定申告は月次でさばく|経費・為替・消費税還付の押さえどころ
この記事の3行要約
- 申告が必要かは売上ではなく所得で決まる。給与所得者は給与以外の所得が 20 万円を超えるかが分かれ目
- eBay の手数料も送料無料のときの実費送料も経費。売上は手数料を差し引く前の金額で計上する
- 消費税還付は輸出免税が前提だが、課税事業者になると 2 年間は戻れない。事務負担と天秤にかける
目次
- 1.はじめに
- 2.自分は申告が必要か
- 2-1.20 万円は売上ではなく所得の話
- 2-2.不用品を売った分と、仕入れて売った分は別
- 2-3.雑所得と事業所得で何が変わるか
- 3.売上をいつ・いくらで計上するか
- 3-1.どの時点を売上にするか
- 3-2.為替レートをどう決めるか
- 3-3.簡便法には代償があります
- 4.経費になるもの
- 4-1.手数料は「すでに引かれているから」で済ませない
- 4-2.送料無料で出した分の送料も経費です
- 5.為替差損益をどう扱うか
- 5-1.どちらに転ぶか
- 5-2.取引ごとに計算しない方法
- 6.消費税還付は取りに行くべきか
- 6-1.輸出取引は免税になる
- 6-2.輸出したことを証明できるか
- 6-3.個人から仕入れた分は控除できるのか
- 6-4.還付を取りにいく前に
- 7.申告書類と期限
- 8.月次でやること
- 8-1.年間の流れ
- 9.よくある取りこぼし
- 10.記録を残しやすくする
- 11.まとめ
- 12.よくある質問
- 13.参照リンク
はじめに
確定申告の時期になって、1 年分の取引をまとめて遡る。eBay 輸出でこれをやると、かなりの負担になります。
売上はドル建てで、為替は日々動いていて、手数料は複数あって、国際送料の記録は発送方法ごとにばらばら。仕入れ先も一つではありません。
これを 12 か月分まとめて処理しようとすると、時間がかかるだけでなく、本来なら経費にできたものを取りこぼします。
この記事では、eBay 輸出セラーが確定申告で押さえるところを整理し、月次で記録しておくべき項目まで落とします。
本記事は国税庁が公開している情報をもとに、eBay 輸出に関わる部分を一般的に整理したものです。特定の申告内容に対する税務上の助言ではありません。 個別の事情によって取り扱いは変わります。最終的な判断は税理士または所轄の税務署にご確認ください。記載した制度は執筆時点のもので、税制改正により変更されることがあります。
これから eBay を始める段階の方は、先に販売の流れを掴んでおくと以降の話がつながりやすくなります。
自分は申告が必要か
最初に確認するのは「そもそも申告が必要か」です。ここは売上の大きさではなく、所得と所得の種類で決まります。
20 万円は売上ではなく所得の話
会社勤めをしながら eBay で販売している方の場合、判断の起点になるのが 20 万円です。
国税庁の給与所得者で確定申告が必要な人には、給与を 1 か所から受けていて、その給与の全部が源泉徴収の対象である場合、給与所得と退職所得を除く各種の所得金額の合計額が 20 万円を超える人は確定申告をしなければならない、と書かれています。
ここで間違えやすいのが、20 万円が売上ではなく所得である点です。
所得は、売上から必要経費を差し引いた金額です。年間の売上が 100 万円あっても、仕入れ・手数料・送料などの経費が 85 万円かかっていれば、所得は 15 万円になります。
もうひとつ、同じページには見落としやすい但し書きがあります。20 万円超で申告が必要な人から「確定申告をすれば税金が還付される人は除きます」とされている点です。医療費控除などで還付申告をするなら、そちらの手続きの中で扱いが変わります。
なお、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の取り扱いは別です。こちらは国税庁ではなくお住まいの自治体の所管になるので、市区町村の案内で確認してください。

不用品を売った分と、仕入れて売った分は別
eBay を不用品の販売から始めた方は、ここも押さえておいてください。
国税庁の給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合によると、オークションサイトやフリマアプリを使った個人取引による所得は、一般的には雑所得に該当します。
ただし注記があります。
生活の用に供している資産(古着や家財など)の売却による所得は非課税(この所得については確定申告が不要)で、損失は生じてないものとみなされます。
つまり、自分が使っていた物を売った分と、売るために仕入れた物を売った分は、扱いが違います。
最初の数品を不用品で始めて、途中から仕入れに切り替えた場合、どこからが仕入れ品なのかを自分で線引きできるようにしておく必要があります。仕入れの記録がそのまま境界線になるので、切り替えたタイミングは残しておいてください。
雑所得と事業所得で何が変わるか
副業として販売しているうちは雑所得、本格的に事業として営むなら事業所得、というのが大まかな整理です。
違いは控除だけではありません。赤字が出たときの扱いが決定的に違います。
国税庁の雑所得のページには、こう書かれています。
雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の所得の金額と損益通算はできません。
在庫を多めに抱えて赤字になった年でも、雑所得ではその赤字を給与所得と相殺できません。「副業だから雑所得のほうが気楽」とは一概に言えない、というのがここです。
また雑所得でも、規模に応じて記録の義務が生じます。同じページによると、前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が 300 万円を超える場合は現金預金取引等関係書類の保存が必要になり、1,000 万円を超える場合は確定申告書に収支内訳書などの添付が必要になります。
一方、事業所得で青色申告を選ぶと控除が使えます。青色申告特別控除の要件は次のとおりです。
| 控除額 | 主な要件 |
|---|---|
| 65 万円 | 55 万円の要件に加えて、優良な電子帳簿の要件を満たす電子帳簿保存、または申告期限までに e-Tax で提出すること |
| 55 万円 | 事業所得を生ずべき事業を営み、正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)で記帳し、貸借対照表・損益計算書を添付して確定申告期限(翌年 3 月 15 日)までに提出すること |
| 10 万円 | 上記に該当しない青色申告者 |
55 万円と 65 万円の差は、e-Tax で出すかどうかだけと言ってよい部分があります。紙で出すと 10 万円分が消えるので、要件を満たせるなら e-Tax を選ぶほうが有利です。
自分の売上規模がどのあたりに来るかを先に見積もっておきたい方は、目標額から逆算する記事も用意しています。
売上をいつ・いくらで計上するか
eBay 輸出は、お金が手元に届くまでに何段階か挟まります。どの時点を売上とするかで、記帳の手間も為替の扱いも変わります。
どの時点を売上にするか
選択肢は実質 2 つです。
eBay 上で売れた日で計上する。 取引が発生した時点で記録する方法です。取引件数が多い場合はこちらが基本になります。
Payoneer に入金された日で計上する。 現金の動きに合わせて記録する方法です。件数が少ないうちは扱いやすくなります。
一方、日本の銀行へ出金した日を基準にするのは避けてください。 出金するタイミングは自分で決められるため、利益を出す年をずらせてしまいます。
そして何より大事なのは、一度決めた基準を年間通して変えないことです。月によって基準が違うと、そもそも自分でも正しい数字が出せなくなります。
為替レートをどう決めるか
ドル建ての売上を円に直すレートも、一貫していれば選べます。金融機関が公表する仲値を使う方法と、実際の出金時に適用されたレートを使う方法があります。
出金時のレートを使うと、記録に残っている円の金額をそのまま使えるので、換算の手間はほぼなくなります。
簡便法には代償があります
ここはベンチマークになりやすい情報ほど注意が要る部分です。
「入金日基準にすれば為替の計算がいらないので簡単」という説明はよく見かけます。実際そのとおりなのですが、この簡便さと 65 万円の控除は両立しません。
国税庁の青色申告特別控除のページに、次の注記があります。
現金主義による所得計算の特例を選択している方は、55万円の青色申告特別控除を受けることはできません。
つまり、手間を減らす簡便法を選ぶなら、55 万円・65 万円の控除は諦めることになります。
どちらが得かは規模によります。所得が小さいうちは簡便法で回して問題ありませんが、控除額のほうが大きくなる規模に入ってきたら、記帳の方式ごと見直す時期だと考えてください。
経費になるもの
売上から差し引ける経費は、思っているより広い範囲にわたります。eBay 輸出では手数料と送料だけでもまとまった金額になるため、ここの取りこぼしがそのまま税額に響きます。
代表的なものを勘定科目とあわせて整理します。
| 経費 | 勘定科目の例 | 具体例 |
|---|---|---|
| 仕入れ代金 | 仕入高 | フリマアプリ・オークション・店舗での購入代金 |
| eBay の手数料 | 支払手数料 | 落札手数料・国際出品手数料・基本出品料 |
| 売上金の受け取りにかかる手数料 | 支払手数料 | ドルを円に替える際の為替手数料 |
| 国際送料 | 荷造運賃 | 国際エアパケット・EMS・クーリエの料金 |
| 梱包材 | 荷造運賃 | 段ボール・緩衝材・テープ・スリーブ類 |
| ツールの利用料 | 通信費など | 販売管理ツール・リサーチツールの月額 |
| eBay のストア料金 | 支払手数料 | ストア契約の月額 |
| 広告費 | 広告宣伝費 | eBay 内の広告の利用料 |
| 通信費 | 通信費 | インターネット回線(事業使用分) |
| 消耗品 | 消耗品費 | 取得価額 10 万円未満の PC・プリンターなど |
| 書籍・講座 | 新聞図書費・研修費など | eBay 輸出に関する書籍・講座 |
勘定科目の割り当ては法令で厳密に決まっているわけではなく、慣行の幅があります。大事なのは科目名そのものより、同じ性質の支出を毎年同じ科目で処理することです。
10 万円という線は根拠があります。国税庁の減価償却のあらましには、使用可能期間が 1 年未満のものまたは取得価額が 10 万円未満のものは、その全額をその年分の必要経費とすると書かれています。これを超えるものは、原則として複数年に分けて経費にしていくことになります。
手数料は「すでに引かれているから」で済ませない
いちばん多い取りこぼしがこれです。
eBay の手数料は売上から自動的に差し引かれて入金されます。そのため「もう引かれているのだから経費に入れなくていい」と考えてしまう方がいます。
正しくは逆です。売上はバイヤーが支払った金額(手数料を差し引く前)で計上し、差し引かれた手数料は経費として別に計上します。
結果の利益は同じに見えますが、売上を小さく記録してしまうと、規模の判定に使う数字がずれます。消費税の納税義務は課税売上高で判定されるので、ここを小さく見積もっていると判断を誤ります。
率の目安も押さえておきます。eBay 公式の出品料ページによると、落札手数料はほとんどのカテゴリで売上総額の 13.6%(トレーディングカードやコミックは 13.25%、本と雑誌・映画・音楽は 15.3%)、これに注文ごとの手数料が加わります。登録住所が日本のセラーには、さらに国際出品手数料 1.35% がかかります。
送料無料で出した分の送料も経費です
もうひとつの定番の取りこぼしが、送料無料の出品です。
送料込みの価格で出品した場合、売上にはバイヤーが支払った金額をそのまま計上します。そのうえで、実際に自分が負担した国際送料は荷造運賃として経費に計上できます。
送料を別建てで請求していれば請求額と支払額が並ぶので忘れにくいのですが、商品価格に溶かしていると、そもそも送料という項目が帳簿に出てきません。だから抜けます。
発送のタイミングと売上のタイミングがずれることもあるので、同じ取引の売上と送料は同じ年に対応させるよう気をつけてください。
為替差損益をどう扱うか
売上を計上した時のレートと、実際に円で受け取った時のレートは、たいてい一致しません。この通貨換算の差が為替差損益です。
どちらに転ぶか
考え方はシンプルです。
- 売上を計上した時より円安で出金した → 円の受取額が増える(為替差益)
- 売上を計上した時より円高で出金した → 円の受取額が減る(為替差損)
たとえば 1 月に $1,000 の売上を 1 ドル 150 円で計上し、3 月に 1 ドル 155 円で出金したなら、円での受取額は 5,000 円多くなります。この差額を為替差益として処理します。
取引ごとに計算しない方法
月に何百件も取引があるセラーが、これを 1 件ずつ計算するのは現実的ではありません。
前述のとおり、出金時のレートで売上を計上する方法を採れば、そもそも差が生じないので為替差損益の計算自体が不要になります。ただしこの方法を選ぶと 55 万円・65 万円の控除は使えません。
複式簿記で控除を取りにいく場合は、年末時点の外貨残高を評価する処理が必要になります。ここは規模に応じて税理士に相談する領域だと考えてください。
消費税還付は取りに行くべきか
輸出セラーにとって気になるのが消費税の還付です。ただし、還付は誰でも自動的に受けられるものではありません。
輸出取引は免税になる
国税庁の輸出取引の免税によると、販売が輸出取引にあたる場合、消費税は免除されます。内国消費税である消費税は、外国で消費されるものには課税しないという考え方によるものです。
一方、国内での仕入れや経費には消費税が含まれています。同じページには、輸出取引に対応する課税仕入れに含まれる消費税は仕入税額控除ができると書かれており、この控除の対象には商品の仕入れだけでなく、事務用品や広告宣伝費などの経費も含まれます。
売上側の消費税がゼロで、仕入れ側で払った消費税を控除できる。ここに還付の余地が生まれます。
輸出したことを証明できるか
見落とされがちなのが証明書類です。同じページには、輸出免税の適用を受けるにはその取引が輸出取引である証明が必要で、書類を納税地等に 7 年間保存する必要があると書かれています。
郵便で送る場合、必要な書類は金額で変わります。
| 郵便物の資産価額 | 保存すべき書類 |
|---|---|
| 20 万円超 | 輸出許可書(税関長が証明した書類) |
| 20 万円以下(小包郵便物・EMS 郵便物) | 日本郵便から交付を受けた引受けを証する書類および発送伝票等の控え |
| 20 万円以下(通常郵便物) | 引受けを証する書類(品名・品名ごとの数量および価額を追記したもの) |
20 万円以下で小包郵便物・EMS 郵便物の場合、書類には次の 4 点が記載されている必要があります。
- 輸出した事業者の氏名または名称および住所等
- 品名並びに品名ごとの数量および価額
- 受取人の氏名または名称および住所等
- 日本郵便による引受けの年月日
この 20 万円は FOB 価格で、原則として郵便物 1 個あたりで判定します。ただし同一の受取人に 2 個以上に分けて差し出す場合は、それらの合計額で判定します。 高額な取引を分割して送っている場合は注意してください。
個人から仕入れた分は控除できるのか
ここが eBay 輸出セラーにとっていちばん現実的な論点です。
原則として、適格請求書発行事業者以外(免税事業者や消費者)からの課税仕入れは控除できません。フリマアプリやオークションの個人出品者から仕入れているなら、この原則にまともに当たります。
ただし、帳簿のみの保存で控除が認められる例外があります。eBay セラーに関係するのは次の 2 つです。
古物商特例。 古物営業を営む者が、適格請求書発行事業者でない者から、棚卸資産に該当する古物を購入する場合は、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で控除が認められます。古物商許可を取って中古品を仕入れているなら、ここに該当する可能性があります。
少額特例。 基準期間の課税売上高が 1 億円以下、または特定期間の課税売上高が 5,000 万円以下の事業者が、令和 5 年 10 月 1 日から令和 11 年 9 月 30 日までの間に行った税込 1 万円未満の課税仕入れは、帳簿のみの保存で控除が認められます。
そのうえで、これらに当たらない場合の割合控除の経過措置があります。ここは令和 8 年度税制改正で見直されたばかりで、適用期限が 2 年延長され、割合も変わりました。国税庁が示している時系列は次のとおりです。
| 期間 | 控除できる割合 |
|---|---|
| 令和 5 年 10 月 1 日から 3 年間 | 80% |
| 令和 8 年 10 月 1 日から 2 年間 | 70% |
| 令和 10 年 10 月 1 日から 2 年間 | 50% |
| 令和 12 年 10 月 1 日から 1 年間 | 30% |
| 令和 13 年 10 月 1 日以降 | 控除不可 |
改正前は令和 8 年 10 月から 3 年間 50%、その後は控除不可となる予定でした。「2026 年 10 月から 50% に下がる」と書いている記事を見かけたら、改正前の情報です。 詳細は国税庁の令和 8 年度税制改正の案内を確認してください。
還付を取りにいく前に
還付を受けるには課税事業者である必要があります。そして、ここに戻れない期間があります。
国税庁の納税義務の免除によると、消費税課税事業者選択届出書を提出した事業者は、事業を廃止した場合を除き、原則として課税事業者となった日から 2 年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、不適用届出書を提出できません。つまり 2 年間は免税事業者に戻れません。また適格請求書発行事業者の登録を受けている場合は、課税売上高が 1,000 万円以下でも納税義務は免除されません。
判断材料になるのは次の 3 点です。
還付見込み額。 仕入れと経費に含まれる消費税のうち、実際に控除できる分がいくらか。個人からの仕入れが多いなら、原則どおりには控除できません。古物商特例や少額特例に当てはまるかで大きく変わります。
事務負担。 消費税の申告は所得税の申告とは別に行います。帳簿と請求書等の保存期間は原則 7 年です。
国内販売の有無。 国内でも販売しているなら、その分の消費税は納付することになります。
規模が小さいうちは、還付額より事務負担のほうが上回ることもあります。還付は「取れるなら取る」ではなく、2 年縛りを含めて計算してから決めるものです。
なお、免税事業者から課税事業者になった小規模事業者向けには納付税額を軽くする特例もありますが、これらは売上にかかる消費税額を基準に納付税額を決める仕組みです。輸出売上は免税で売上側の消費税がゼロになるため、輸出中心のセラーにとって有利に働くとは限りません。どの方式を選ぶかは、必ず税理士か税務署に確認してください。
申告書類と期限
準備する書類と期限を整理します。
青色申告で事業所得を申告する場合、主に次のものを揃えることになります。
- 確定申告書
- 青色申告決算書
- eBay と売上金の受取口座の年間の取引記録
- 仕入れ先の取引履歴
- 国際送料の記録・領収書
- ツール利用料や通信費の請求書
- 為替レートの記録
- 年末在庫の棚卸表
期限は税目ごとに違います。所得税の確定申告期限は翌年 3 月 15 日です(青色申告特別控除のページに明記されています)。
消費税は別です。国税庁の課税期間のページによると、個人事業者の課税期間は 1 月 1 日から 12 月 31 日で、その課税期間の消費税および地方消費税の確定申告は翌年 3 月 31 日までに提出・納付することとされています。
課税事業者は、3 月 15 日と 3 月 31 日という 2 つの期限を持つことになります。
月次でやること
ここまでが制度の話です。最後に、これを毎年の作業に落とします。
確定申告は年に一度の大仕事ではなく、月次の記録の積み重ねです。毎月 1 時間を確保できれば、申告直前に 1 年分を遡る必要はなくなります。
月末にやることを固定してしまうのがいちばん確実です。
- eBay の売上と手数料を記録する — 売上・手数料・広告費を月単位で押さえる
- 売上金の入金記録を残す — 入金額・適用レート・手数料
- 仕入れの記録を残す — 購入履歴を書き出し、領収書やスクリーンショットを保存する
- 送料の記録を整理する — 発送方法ごとの料金と、輸出の証明になる控え
- ツール利用料などの固定費を計上する
- 為替レートを記録する — 仲値を採用しているなら月末の値
- 外貨の残高を記録する — 年末の評価に使う
慣れると 30 分から 1 時間で終わります。この作業を 12 回やった状態と、3 月に 1 年分を遡る状態とでは、かかる時間も精度もまったく違います。
記録の方法は規模で選べば十分です。
| 方法 | 向いている段階 |
|---|---|
| 表計算ソフトで自作 | 雑所得の範囲で申告している段階 |
| 会計ソフト | 青色申告で複式簿記が必要な段階 |
| 税理士に依頼 | 消費税の申告が絡む段階、規模が大きくなった段階 |

年間の流れ
年を通した動きも押さえておくと、いつ何が来るか読めるようになります。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1 月 | 前年の取引データを確定させる。eBay・受取口座・仕入れ先の年間記録を揃える |
| 2 月〜3 月 15 日 | 所得税の確定申告 |
| 3 月 31 日まで | 消費税の確定申告(課税事業者の場合) |
| 4 月以降 | 当年分の月次記録を続ける |
| 6 月頃 | 住民税の通知が届く。前年の申告内容が反映される |
| 12 月 | 年末の外貨残高を確定させる。在庫の棚卸しを行う |

出金の記録と適用されたレートをどこで確認するかは、受け取りの記事で扱っています。
よくある取りこぼし
最後に、実際に漏れやすい 4 つを挙げておきます。
eBay の手数料を経費に入れていない。 売上から自動的に差し引かれるため、記帳から丸ごと落ちやすい項目です。売上は差し引く前の金額で計上し、手数料は経費として別に計上します。
送料無料で出した分の実費送料を入れていない。 商品価格に溶かしていると、帳簿上に送料という項目が現れないため気づきません。
年末の外貨残高を評価していない。 12 月 31 日時点でドル残高があるなら、それも年末の状態として記録が必要になります。「出金していないから関係ない」と放置すると、翌年に出金したときの数字が実態と合わなくなります。
仕入れの記録を残していない。 フリマアプリやオークションでの仕入れは、取引完了から一定期間が過ぎると詳細を閲覧できなくなることがあります。購入した時点で保存する、を習慣にしてください。
記録を残しやすくする
私たち Trade Force は、eBay 輸出の販売管理をひとつの画面にまとめるサービスです。この記事の文脈で使える部分を、実際に提供しているものだけ挙げておきます。
売上の集計。 開始日と終了日を指定して、販売数・注文数・売上金額・手数料・返金額・入金額を集計できます。月末の記録で必要になる数字が、期間を指定するだけで揃います。あわせて明細も確認できます。
注文と在庫・出品の管理。 何をいくらで仕入れ、どの注文でいくら売れたのかを 1 か所で辿れます。年末の棚卸しの土台になります。
利益計算ツール。 販売額・送料・為替レート・販売手数料率・仕入価格・その他経費を入れると、利益と利益率がその場で計算されます。
念のため書き添えておくと、これは会計ソフトではありません。仕訳や申告書の作成は行いません。申告に使う数字を揃えるところまでが役割で、その先は会計ソフトか税理士の領域です。
まとめ
要点を整理します。
申告が必要かは所得で決まります。 給与所得者なら、給与以外の所得の合計が 20 万円を超えるかが分かれ目です。売上ではありません。
不用品と仕入れ品は扱いが違います。 生活の用に供していた資産の売却による所得は非課税とされています。仕入れに切り替えた時点を記録しておいてください。
雑所得は赤字を他の所得と相殺できません。 事業所得との違いは控除だけではありません。
手数料と送料は経費です。 売上は手数料を差し引く前で計上し、送料無料の出品でも実費の国際送料は経費に計上します。
簡便法には代償があります。 入金日基準(現金主義)を選ぶと、55 万円・65 万円の青色申告特別控除は受けられません。
消費税還付は前提条件を確認してから。 輸出免税が土台ですが、輸出の証明書類が要り、個人からの仕入れは原則として控除できません。課税事業者になると 2 年間は戻れません。
そして、これらをまとめて 3 月にやろうとしないことです。月末に 1 時間だけ確保して、売上・手数料・仕入れ・送料・レートを記録する。それだけで、確定申告は「集計するだけの作業」に変わります。
記録を楽にするツールの選択肢は、別の記事にまとめています。
よくある質問
Q1.販売管理ツールの利用料はどの勘定科目で計上しますか
「通信費」や「支払手数料」で処理するのが一般的です。会計ソフトの初期設定でどちらかに寄せられることが多く、実務上どちらでも問題になりにくい部分です。
勘定科目の割り当ては法令で一律に決まっているわけではありません。重要なのは科目名そのものより、同じ性質の支出を毎年同じ科目で処理することです。 年ごとに科目が変わっていると、前年比較ができなくなります。
複数のツールを使っている場合は補助科目で分けておくと、後から内訳を説明しやすくなります。
Q2.年末に eBay で出品中の商品も棚卸しの対象になりますか
出品中でまだ売れていない商品は、手元にある在庫です。年末時点で発送前の在庫は棚卸しの対象になると考えてください。
実務では、eBay の出品一覧と仕入れ先の購入履歴を突き合わせて、商品ごとの仕入価格と数量を一覧にする作業になります。仕入れの時点で仕入価格を商品ごとに記録しておけば、この作業はほぼ集計だけで済みます。
評価方法の選択については取り扱いが分かれる部分があるため、所轄の税務署か税理士に確認してください。
Q3.所得が 20 万円以下なら何もしなくていいですか
所得税の確定申告については、給与所得者で条件に当てはまる場合は不要とされています。
ただし住民税は別です。こちらは自治体の所管で、所得税の申告が不要な場合でも申告が必要になることがあります。お住まいの市区町村の案内で確認してください。
また、医療費控除やふるさと納税などで確定申告をする場合は、そちらの申告の中で eBay の所得も含めて申告することになります。
Q4.赤字だった年はどうなりますか
事業所得として青色申告をしている場合と、雑所得の場合で扱いが違います。
雑所得の場合、国税庁のページに「雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の所得の金額と損益通算はできません」と明記されているとおり、給与所得と相殺することはできません。
在庫を多く抱える年が想定されるなら、この違いは事前に確認しておく価値があります。具体的な判断は個別の事情によるので、税務署か税理士にご相談ください。
Q5.帳簿や領収書はいつまで保存すればいいですか
消費税の仕入税額控除に関しては、国税庁の帳簿及び請求書等の保存のページによると、帳簿はその閉鎖の日、請求書等は受領した日の属する課税期間の末日の翌日から 2 か月を経過した日から7 年間の保存とされています(6 年目と 7 年目はいずれか一方でよいとされています)。
輸出免税の証明書類も、納税地等に 7 年間の保存が必要です。
紙で溜めていくと管理しきれなくなるので、発送控えや購入履歴はその都度データで残しておくのが現実的です。
参照リンク
本記事で参照した公式ページです。数値や制度は改正されることがあるため、実際の申告にあたっては最新の内容をご確認ください。
- 国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人 — 20 万円の基準
- 国税庁 No.1906 給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合 — ネット販売の所得区分と、生活用資産の非課税
- 国税庁 No.1500 雑所得 — 損益通算・記録の義務
- 国税庁 No.2072 青色申告特別控除 — 65 / 55 / 10 万円の要件、現金主義との関係、申告期限
- 国税庁 No.2100 減価償却のあらまし — 10 万円未満の資産の扱い
- 国税庁 No.6551 輸出取引の免税 — 輸出免税と証明書類
- 国税庁 No.6501 納税義務の免除 — 課税事業者の選択と 2 年間の縛り
- 国税庁 No.6496 仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存 — 古物商特例・少額特例・保存期間
- 国税庁 No.6137 課税期間 — 消費税の申告期限
- 国税庁 令和 8 年度税制改正特集(インボイス経過措置の見直し等) — 経過措置の割合と適用期間
- eBay 公式ヘルプ 出品料 — 落札手数料とカテゴリ別の率
この記事を書いた人
Trade Force 運営チーム
越境EC向け販売管理ツール「Trade Force」の運営チーム。自らも eBay で日本のトレーディングカードを販売しており、現場の実体験に基づく情報を発信しています。
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