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eBay輸出は儲からないのか|利益が消える4つの場所と、切り分けの手順

この記事の3行要約

  • 「eBay輸出は儲からない」は原因がひとつではなく、1件あたり・件数・時間・手元に残る額の4つに分かれる
  • どこで消えているかを特定しないまま値下げや出品増をすると、赤字の件数が増えるだけになる
  • 外部要因(為替・送料・競争)は消せないが、価格に織り込むことはできる
目次

はじめに

「eBay 輸出は儲からない」という言葉は、検索すると大量に出てきます。書いている人によって結論が正反対なのも、この言葉の特徴です。

ただ、記事を読み比べても自分の状況が分かるわけではありません。挙げられている原因は 10 個も 20 個もあり、そのどれが自分に当てはまるのかは書かれていないからです。

この記事では、原因を並べる代わりに 切り分け をします。

利益が消える場所は、大きく 4 つしかありません。1 件あたりの構造、件数、時間、そして手元に残る額です。どこで消えているかが分かれば、打つ手は自動的に決まります。

逆に、特定しないまま「値下げする」「出品数を増やす」と動くと、赤字の取引が増えるだけになります。これが一番よくある失敗です。

eBay輸出が儲からないとき、利益はどこで消えているか

まず全体像です。「思ったより残らない」という感覚は、次の 4 つのどれかから来ています。

この 4 つは、必要な対策がまったく違います。

消えている場所症状打つ手の方向
1 件あたり売れているのに残らない値付けと原価の作り直し
件数1 件は残るが総額が小さい出品数と出品枠
時間金額は出るが疲弊する作業の削減
手元帳簿と入金が合わない返金・保留・在庫の管理

順番も大事です。1 から順に見てください。1 件あたりが赤字のまま件数を増やすと、損失が比例して増えます。

「儲からない」に単一の原因はない。1 件あたり・件数・時間・手元に残る額のどこで消えているかを先に特定する。特定しないまま出品数を増やすと、赤字の件数が増えるだけになる。

切り分け1 : eBay輸出の1件あたりの利益が出ていない

最初に確認するのはここです。1 件売れたときに、いくら残るのか。

手数料は1種類ではない

「eBay の手数料は 10% くらい」という理解のまま仕入れ値を決めていると、ここでずれます。

日本に登録したセラーが eBay.com で売ったとき、売上からは 3 つが別々に引かれます。落札手数料がほとんどのカテゴリで 13.6% と注文ごとの定額、国際出品手数料が 1.35%、そして円に替えるときのコストが最大 2% です。

合わせると 15% 前後、円にするところまで含めて 17% 前後になります。10% で見積もっていたなら、その差がそのまま消えています。

手数料は送料にもかかります

落札手数料の計算対象は商品価格だけではありません。買い手が払った送料も含まれます。送料を別に請求すれば手数料を避けられる、ということはありません。

「カメラは約 12%」「アパレルは 5〜10%」といった記述を見かけることがありますが、どちらも「ほとんどのカテゴリ」に入るので 13.6% です。率が本当に低いのは、ギター&ベースなど一部に限られます。

3 つの内訳と、カテゴリごとの率は別の記事で分解しています。

送料を後から足すと合わない

次に多いのが送料です。

国際送料は重量と発送先で変わります。仕入れの時点で「だいたいこれくらい」と見積もっておくと、実際に発送する段になって数百円から千円単位でずれます。単価が低い商材ほど、このずれは致命的です。

対策は単純で、仕入れる前に、その商品の重量と梱包後のサイズで送料を引いてみることです。売れてから調べるのでは順番が逆になります。

為替は「自分が出金する日」のレート

3 つ目が為替です。

eBay の取引そのものに為替レートは登場しません。売上はドルのまま Payoneer に入り、円になるのは日本の銀行口座へ出金するときです。

つまり効いてくるのは、出品した日でも売れた日でもなく、自分が出金の操作をした日のレートです。しかもこのコストは提示レートに織り込まれていて、明細に「為替手数料」という行が出てきません。引かれていることに気づきにくい種類のコストです。

利益計算では、楽観的なレートを使わないでください。円高に振れた月だけ赤字案件が混ざる、という事故はここから起きます。

1件あたりの利益の下限を先に出す

ここまでの 3 つを引いて、まだ残るかどうか。それが下限価格です。

下限価格 = (仕入価格 + 国内送料 + 国際送料 + 梱包費 + 目標利益) ÷ (1 - 手数料率)

この式で出た額を下回る値付けをしないこと。これが「1 件あたりの利益が出ていない」状態から抜ける唯一の方法です。値下げのテクニックはその後の話になります。

切り分け2 : 1件の利益は出ているが、件数が足りない

1 件あたりが黒字なら、次は件数です。ここで詰まっているなら、症状は「利益率は悪くないのに、月の合計が小さい」になります。

出品枠は「月10品・500ドル」で固定ではない

eBay を始めるとセリングリミットという上限があり、1 か月に出品できる品数と金額の両方が制限されます。

日本語の記事の多くが「新規セラーは月 10 品・500 ドル」と断定していますが、この数値はアカウントごとに設定されます。自分の値は Seller Hub の Overview にある Monthly limits で確認してください。他の人の数字ではなく、自分の画面が正です。

そして重要なのは、この枠は申請しないと動かないものではない、という点です。eBay は毎月アカウントを見直していて、売って評価を得ていれば自動でも上がります。

枠が余っているのに売れていないなら、件数の問題ではありません

10 品の枠に対して 5 品しか出していないなら、詰まっているのは枠ではなく出品作業のほうです。この場合は切り分け 3(時間)に進んでください。

何品売れば目標に届くのかを逆算する

「もっと出品する」は方向としては正しいのですが、目標額に対して何品必要なのかを出しておかないと、途中でやめる理由になります。

必要な出品数は、単価とセルスルーレート(出品したうちどれだけ売れるか)から逆算できます。

切り分け3 : 利益は出ているが、時間に合っていない

金額としては黒字なのに、続ける気力がなくなる。この状態は、時間で見ないと正体が分かりません。

時給で見ると別の絵になる

月の利益額を、その月にかけた時間で割ってみてください。リサーチ、出品、梱包、発送、問い合わせ対応、そのすべてを含めた時間です。

出てきた数字が納得できるかどうかが、続けられるかの実質的な基準になります。利益率でも月商でもなく、時給です。

低単価の商材を大量に回す形は、ここで壁に当たりやすくなります。1 件の利益が小さいまま件数を増やすと、手数料と作業時間だけが比例して増えるためです。単価を上げるほうが、時給には効きます。

作業時間を測っていないと、何も判断できない

厄介なのは、多くの人が作業時間を測っていないことです。測っていなければ、時給も出せませんし、外注やツールに払う額が妥当かどうかも判断できません。

1 週間でいいので、作業の種類ごとに時間を記録してみてください。だいたい、リサーチと出品作業が想像より長いはずです。

切り分け4 : 利益は出ているのに、手元に残っていない

帳簿の上では黒字なのに、口座の残高が増えない。この場合は 3 つの場所を確認します。

返金すると手数料は戻るが、eBayが介入すると戻らない

自主的に返金した場合、落札手数料と国際出品手数料は返金した割合に応じてクレジットされます。全額返金なら全額、20% の部分返金なら 20% 分です。

ただし、注文ごとの定額($0.30)は戻りません。そして、より効くのはこちらです。

eBayの介入で終わったケースは、手数料が戻りません

返品や未着のリクエストで eBay が介入し、返金でケースが終了した場合、手数料はクレジットされません。返金額を失ったうえに、手数料も残ります。期限内に自分で解決するほうが、金額の面でも有利です。

返品が多い状態を放置すると、ここで利益が削られ続けます。あわせて取引不良率が上がるとBelow Standardに落ち、落札手数料に 6% が上乗せされます。手数料が増えれば、また利益が減ります。

新規セラーは、入金が最長21日保留されることがある

始めたばかりの時期に「売れているのに入金がない」と感じるのは、多くの場合これです。

eBay の公式ページには、新規または取引の少ないセラーについて、商品が問題なく配達されたことを確認するまで入金が保留されると書かれています。限られた状況では最長 21 日とされています。

通常は買い手の支払い確認から 1〜2 日で出金可能になるので、21 日はあくまで確認が長引いた場合です。追跡番号を登録すると解消が早まると公式に案内されています。発送したら追跡を入れる、を徹底してください。

これは利益が消えているのではなく、タイミングの問題です。ただし、仕入れの資金がここで止まるので、キャッシュフローとしては実害があります。始めたばかりの時期に大量に仕入れないほうがいいのは、この理由からです。

売れているのに入金がないとき — 21日 まで入金が保留されることがある、新規・取引の少ないセラーが対象。配達確認までの措置で、追跡番号の登録で早まると公式に案内されている

在庫は利益ではない

3 つ目は在庫です。

売れていない在庫は、帳簿の上では資産ですが、現金ではありません。売れ残り在庫が積み上がっている状態は、利益が出ているように見えて手元に何も残っていない、という形で現れます。

しかも在庫は出品枠と出品手数料を消費します。月 250 件までは無料ですが、超えると 1 出品ごとに $0.35 かかり、再出品のたびにも課金されます。売れる見込みの薄い商品を出しっぱなしにすると、このコストだけが積み上がります。

為替・送料・競争は消せないが、価格に織り込める

ここまでは自分で動かせる話でした。動かせないものもあります。

  • 為替 — 円高に振れれば手取りは減る
  • 国際送料 — 燃油や制度の変更で上がる
  • 競争 — 同じ商品を扱うセラーは増える
  • 買い手保護eBay Money Back Guarantee は買い手に有利に働く場面がある

これらを理由に「eBay 輸出は構造的に稼げない」と結論づける記事もあります。ですが、外部要因は 消すものではなく、価格に織り込むものです。

具体的には、想定レートを保守的に置く、送料を実測してから値付けする、返品率を見込んで下限価格に上乗せする。この 3 つをやっているかどうかで、同じ外部環境でも結果は変わります。

出典のない数値の読み方

この分野の記事には「目標利益率は 15〜20%」「送料は以前の 1.5 倍」といった数値がよく出てきます。多くは出典が示されていません。

利益率は商材・単価・回転で変わるので、他人の数値をそのまま目標にしても意味がありません。自分の直近 3 か月の実績から出した数値のほうが、判断材料としてはずっと役に立ちます。

eBay輸出を続けるか、やめるかの判断

切り分けをした結果、それでも合わないという結論になることはあります。

判断の材料として見るのは、次の 3 つです。

  1. 1 件あたりの利益が構造的に出るか。下限価格の式に自分の商材を入れて、相場が下限を下回っているなら、その商材では厳しい
  2. 時給が納得できる水準か。測っていないなら、まず 1 週間測る
  3. 改善の余地を使い切ったか。単価を上げる、カテゴリを変える、作業時間を削る。試していない手が残っているか

3 つ目に手が残っているうちに撤退の判断をすると、たいてい後悔します。逆に、1 と 2 が両方ダメで 3 も使い切っているなら、商材を変えるか、やり方を変えるかの判断は早いほうがいいと思います。

なお、詰まりを外部の力で解こうとする前に、いま何に詰まっているかを特定しておいてください。切り分けができていない状態でコンサルやツールに払うと、効かないところにお金を使うことになります。

判断の材料を手元に残す

ここまでの切り分けは、どれも 数字が手元にあることが前提です。

1 件あたりの利益、月の合計、返金額、実際の入金額。これらが揃っていないと、4 つのどこで消えているのかは分かりません。多くの場合、そこが揃っていないから「なんとなく儲からない」で止まってしまいます。

私たちが作っている Trade Force は、eBay 輸出の販売管理をひとつの画面にまとめる OMS です。売れると注文が自動で取り込まれ、期間を指定すると 販売数・注文数・売上金額・手数料・返金額・入金額 が並んで確認できます。

手数料と返金を引いたあとに、実際にいくら入ったのか。それが毎月見える状態になっていれば、この記事の切り分けは机上の話ではなく、自分の数字でできるようになります。

まとめ

「eBay 輸出は儲からない」は、原因がひとつではありません。

  • 利益が消える場所は 4 つ。1 件あたり・件数・時間・手元に残る額
  • 1 から順に見る。1 件あたりが赤字のまま件数を増やすと、赤字の件数が増える
  • 手数料は 15% 前後、円にするところまで含めて 17% 前後。買い手が払った送料にもかかる
  • 出品枠は「月 10 品・500 ドル」で固定ではない。自分の Monthly limits を見る
  • 利益率や月商ではなく、時給で見ると続けられるかが分かる
  • eBay が介入して終わったケースは手数料が戻らない。期限内に自分で解決する
  • 新規セラーは入金が最長 21 日保留されることがある。追跡番号の登録で早まる
  • 外部要因は消せないが、保守的な想定レート・実測した送料・返品率の上乗せで織り込める

原因を特定しないまま動くのが、一番もったいない状態です。まずは 1 件あたりから確認してみてください。

よくある質問

Q1.

eBay輸出は本当に儲からないのですか

A1.

儲かるかどうかは、扱う商材と値付けと作業時間で決まります。「eBay 輸出そのものが儲からない」という主張も見かけますが、その根拠として挙げられる数値は出典が示されていないものが多く、そのまま信じる必要はありません。自分の 1 件あたりの利益と時給を出してから判断してください。

Q2.

利益率は何%を目指せばいいですか

A2.

他人の目標値をそのまま使わないほうがいいと考えています。利益率は商材・単価・回転で大きく変わるためです。目安が欲しいなら、自分の直近 3 か月の実績から出してください。それが自分にとっての基準になります。

Q3.

手数料を安くする方法はありますか

A3.

日本に登録したセラーの場合、選択肢は限られます。国際出品手数料は前月の売上に応じて 1.35% から下がっていく仕組みがあります。一方、Top Rated Plus の 10% 割引は最高評価を受けた国に居住する出品者が対象なので、日本在住で eBay.com に出品しているセラーには適用されません。手数料を下げるより、下限価格を正しく出すほうが効果があります。

Q4.

売れているのに入金がありません

A4.

新規または取引の少ないセラーは、配達が確認できるまで入金が保留されることがあります。公式には限られた状況で最長 21 日とされています。まず自分の発送が完了しているか、追跡番号が登録されているかを確認してください。追跡情報の登録で解消が早まると案内されています。

Q5.

出品数を増やせば解決しますか

A5.

1 件あたりが黒字になっている場合に限ります。赤字の状態で件数を増やすと、損失が比例して増えます。この記事の切り分け 1 を先に確認してください。

Q6.

何ヶ月続ければ判断できますか

A6.

期間で区切るより、材料が揃ったかどうかで判断することをおすすめします。1 件あたりの利益、時給、そして試していない手が残っているか。この 3 つが出せた時点が、判断できるタイミングです。

この記事を書いた人

Trade Force 運営チーム

Trade Force 運営チーム

越境EC向け販売管理ツール「Trade Force」の運営チーム。自らも eBay で日本のトレーディングカードを販売しており、現場の実体験に基づく情報を発信しています。

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