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eBayの価格設定戦略|下限の決め方と、売れないときのテクニック

この記事の3行要約

  • 価格は下限と上限の間で決める。下限は計算で出るが、上限は相場が決める
  • 売れないときにいきなり表示価格を下げない。先に打てる手が4つある
  • 値下げの順番を決めておくと、下げ続けるだけの運用から抜けられる
目次

はじめに

価格をいくらにするか。出品のたびに一番迷うのがここだと思います。

相場を調べて、だいたいの見当はつく。でも、その価格で出して売れなかったとき、次に何をすればいいのかが分からない。そして多くの人が、とりあえず値下げするという一手だけを繰り返すことになります。

値下げは効きます。ただ、一度下げた価格は上げにくいという性質があります。下げ続けた先にあるのは、売れているのに利益が残らない状態です。

この記事では、価格の決め方(下限と上限)と、売れないときに値下げの前に打てる手を整理します。

なお、相場そのものの調べ方はリサーチの記事、手数料の計算は手数料の記事が担当しています。この記事は決めたあとの運用を扱います。

eBay価格設定の戦略 : 下限と上限の間で決める

価格には、2つの境界があります。

下限は計算で出ます。これ以上下げると赤字になる、という線です。自分で決められます。

上限は相場が決めます。同じ商品が他にいくらで売れているか。ここは自分では動かせません。

つまり価格設定とは、この2本の線の間のどこに置くかを選ぶ作業です。線の外に置いてしまうと、売れないか、売れても損をします。

下限価格を計算で出す(手数料率と利益率を織り込む)

必要なのは、この式です。

下限価格の出し方

下限価格 = (仕入価格 + 送料 + 梱包資材) ÷ (1 − 手数料率 − 目標とする利益率)

たとえば手数料率を合計17%、利益率を20%取りたいなら、分母は 1 − 0.17 − 0.20 = 0.63 です。原価の合計をこれで割った額が、下限になります。

ここで手数料率を低く見積もらないでください。落札手数料だけでなく、注文ごとの定額、国際出品手数料、円に替えるときの上乗せまで含めた率で計算します。

もうひとつ、為替のバッファを見込んでおきます。仕入れから入金までには数週間の間があり、その間にレートは動きます。ぎりぎりで組んだ価格は、円高に振れた月にまとめて赤字になります。

上限は相場が決める

上限を知るには、同じ商品が実際にいくらで売れたかを見ます。出品中の価格ではなく、売れた価格です。

相場の調べ方と、そこから最初の価格を決める手順は、リサーチの記事で扱っています。

下限が上限を超えてしまう商品は、そもそも仕入れてはいけない商品です。価格設定の技術で解決できる問題ではありません。

出品形式を選ぶ : 即決かオークションか

価格そのものの前に、どの形式で売るかを決めます。ここで戦略が変わります。

形式向いている場面
即決価格(Buy It Now)相場が安定していて、いくらで売れるか読める商品
オークション相場が読みにくい商品、希少品、値が付くか試したいもの
即決 + Best Offer相場に幅があり、交渉の余地を残したい商品

多くの商品は即決で問題ありません。ただ、相場が読めないものを即決で出すのは損です。安すぎれば即座に売れて機会を失い、高すぎれば動きません。

オークションは、市場に値段を決めてもらう方法だと考えてください。開始価格を下限に設定しておけば、下振れは防げます。

評価が少ないうちの価格

始めたばかりの時期は、同じ価格でも売れにくくなります。実績のないセラーから買うことに、買い手は不安があるからです。

対策として「相場より少し下げる」はよく言われますし、方向としては正しいと思います。ただし条件があります。

下げていいのは上限側であって、下限を割ってはいけません。

赤字で回して評価を集めても、その評価で売る商品がまた赤字なら意味がありません。下限を割るくらいなら、単価の安い商品で件数を作るほうが健全です。

評価が積み上がったら、相場に戻す。あるいは、状態や付属品を根拠に少し上に置く。この切り替えを忘れないでください。最初の安値をそのまま続けてしまうのが、いちばん多い取りこぼしです。

売れないときのテクニック : 値下げの前に打てる4つの手

ここからが本題です。出品して数週間、動きがない。このときいきなり表示価格を下げないでください。

eBay には、表示価格を下げずに成約を近づける道具が用意されています。

1. ウォッチャーにオファーを送る

Offers to Buyers は、その出品をウォッチしている人やカートに入れている人に、セラー側から割引価格を提案する機能です。Seller Hub の出品一覧から送れます。

これが優れているのは、関心を示した相手にだけ届く点です。表示価格は下げないまま、買う可能性が高い人にだけ安い価格を見せられます。

ウォッチャーが付いているのに売れていない出品は、この機能の最有力候補です。あと一押しで決まる状態だからです。

2. Best Offer で交渉の入口を作る

Best Offer を有効にすると、買い手が希望額を提示できるようになります。セラーは承諾・拒否・カウンターオファーで応じます。

「交渉が面倒」と感じるなら、自動応答を設定してください。

  • 自動承諾価格 — この額以上のオファーは自動で承諾する
  • 自動拒否価格 — この額未満のオファーは自動で拒否する

自動拒否価格を下限価格に合わせておけば、赤字のオファーは自動で弾かれます。判断が要る中間帯だけ手動で見ればよくなります。

なお、オファーには有効期限があります(2026年8月時点、米国サイトでは原則96時間)。放置すると失効するので、通知に気づける状態にしておいてください。

3. 期間限定の値下げとして見せる

Sale Event は、対象の出品をまとめて期間限定で値下げ表示できる機能です。値下げ前後の価格が並んで表示されるため、単に安く出し直すのとは見え方が違います。

同じ「$10 下げる」でも、「元は $50 だったものが $40」と見えるかどうかで反応は変わります。下げるなら、下げたことが分かる形で下げるほうが得です。

4. まとめ買いに割引を付ける

Volume Pricing は、同じ出品を2個以上買う人に段階的な割引を出せる機能です。

単価は下がりますが、1回の発送で複数個さばけるので、送料と手間の面では有利になります。同じ商品を複数持っているなら、単純な値下げより先に検討する価値があります。

値下げの前に打てる 4 つの手 — ウォッチャーにオファーを送る(関心を示した相手にだけ、セラー側から割引価格を提案する)、Best Offer で交渉の入口を作る(自動承諾・自動拒否の価格を決めておけば、判断の手間は増えない)、期間限定の値下げとして見せる(Sale Event なら値下げ前後の価格が並んで表示される)、まとめ買いに割引を付ける(Volume Pricing。2 個以上で段階的に割り引く)、表示価格を下げるのは、この 4 つを試したあとでいい

単価帯によって、効く戦略が変わる

同じテクニックでも、扱う単価によって効き方が違います。

低単価(数十ドル)の商品

注文ごとの定額手数料が重くのしかかります。$0.40 は $30 の商品では 1.3% ですが、$200 なら 0.2% です。単価が低いほど、この定額が利益を削ります。

そのため、低単価帯では1件あたりの値下げ余地がほとんどありません。打つべき手は値下げではなく、まとめ買い割引や同梱発送で1回の取引の金額を上げる方向です。

中単価(百ドル前後)の商品

もっとも価格戦略が効く帯です。値下げの余地があり、交渉も成立しやすく、送料の比率も極端ではありません。

Best Offer とオファー送信の両方が機能します。この帯で価格の型を作ると、そのまま上下の帯にも応用できます。

高単価(数百ドル以上)の商品

金額が大きいぶん、買い手は慎重になります。価格より、状態の説明と信頼の材料が効きます。

値下げよりも、写真の追加・状態の詳細・返品条件の明示が成約に近づきます。加えて、高額な取引では発送方法の条件も変わるので、そこも織り込んで価格を決めてください。

値下げの順番を決めておく

4つの手を打っても動かないとき、はじめて表示価格に手を付けます。

順番を決めておくと、感情で下げずに済みます。

ウォッチャーが付いていない出品は、価格の問題ではありません。そもそも見られていないか、見られても興味を持たれていない状態です。ここで値下げしても、安いだけの見えない出品になります。写真・タイトル・説明の見直しが先です。

そもそも見られていない場合は、商品の詳細項目が埋まっているかも確認してください。

見直しは習慣にする

価格は一度決めて終わりではありません。相場は動きますし、仕入れ値も為替も変わります。

価格の見直しは、月に一度でいいので時間を取ってください。見るのは次の3つです。

  • 売れていない出品 — 何週間動いていないか。ウォッチャーは付いているか
  • 相場が動いた商品 — 上がっているなら、上げ直す余地がある
  • 利益率が落ちた商品 — 為替や送料の変化で、下限が上がっていないか

上げ直しを忘れないでください。値下げは意識して行いますが、値上げは意識しないと一生やりません。相場が上がった商品を安いまま売り続けるのは、静かな損失です。

やらないほうがいい値付け

送料で調整しすぎる。 手数料は送料を含む売上総額にかかります。商品価格を下げて送料を上げても、手数料は減りません。買い手からは「送料が高い店」に見えるだけです。

赤字で回転させる。 「評価のため」「在庫処分のため」は一度きりの判断としては成立します。ただし習慣にすると、忙しいのに残らない商売になります。

オファーを乱発する。 割引オファーを頻繁に送ると、「待てば安くなる店」だと学習されます。定価で買ってくれるはずだった人まで待つようになります。

評価が下がっている状態で値下げする。 Below Standard になると落札手数料に追加6%が乗ります。この状態で値下げしても、利益が二重に削られるだけです。まず指標を戻すのが先です。

下限を毎回計算するのは大変です

ここまで書いてきた話は、下限価格が分かっていることが前提になっています。

とはいえ、商品ごとに仕入価格・送料・手数料率・為替を入れて計算するのは手間です。電卓で1件ずつやっていると、面倒になって「だいたいこのくらい」で決めるようになります。そこから赤字案件が混ざり始めます。

私たちが開発している Trade Force は、商品・在庫・出品・注文・発送・売上をひとつの画面で管理する定額制の OMS(受注管理システム)です。

販売額・送料・為替レート・手数料率・仕入価格を入れると、利益計算がその場で終わる利益計算ツールを備えています。為替レートと手数料率は設定した初期値を読み込むので、画面ごとに違う前提で試算してしまうこともありません。

売上も自動で集計され、手数料や返金を差し引いた入金額まで確認できます。決めた価格が、実際にいくら残したのかを後から追えます。

まとめ

  • 価格は下限と上限の間で決める。下限は計算、上限は相場
  • 下限は「(原価) ÷ (1 − 手数料率 − 利益率)」。手数料率を低く見積もらない
  • 相場が読めない商品は、即決よりオークションが向く
  • 評価が少ないうちは少し下げてよい。ただし下限は割らない
  • 売れないとき、値下げの前に4つの手がある(オファー送信・Best Offer・Sale Event・まとめ買い割引)
  • ウォッチャーが付いていない出品は価格の問題ではない。写真とタイトルを先に直す
  • 見直しは月に一度。上げ直しを忘れない

よくある質問

Q1.

相場より高い価格で出しても売れますか

A1.

売れることはあります。状態が良い、付属品が揃っている、写真で状態が確認できる、といった価格差を説明できる材料があるときです。

逆に、同じ状態の同じ商品を、何の説明もなく高く出しても選ばれません。高く出すなら、高い理由を出品ページで示す必要があります。

Q2.

何日売れなかったら値下げすべきですか

A2.

日数で機械的に決めるより、ウォッチャーの有無で判断するほうが正確です。

ウォッチャーが付いているのに売れないなら、価格が最後の一押しになっていない状態なので、オファーが効きます。ウォッチャーも付いていないなら、価格以前に見られていないので、値下げしても変わりません。

Q3.

Best Offer は必ず有効にしたほうがいいですか

A3.

商品によります。相場に幅がある中古品では有効です。相場が固まっている商品では、交渉の手間が増えるだけのこともあります。

有効にするなら、自動拒否価格を下限に合わせるのを忘れないでください。ここを設定しないと、赤字のオファーを1件ずつ手で断ることになります。

Q4.

送料無料にすべきですか

A4.

買い手が払う総額が同じなら、どちらでも構いません。手数料も総額にかかるので変わりません。

違うのは見え方です。送料込みにすると、商品ページの価格がそのまま総額になります。比較されたときに分かりやすいのは、こちらです。ただし送料の高い大型商品では、商品価格が相場より高く見える点に注意してください。

Q5.

値下げしたのに売れません

A5.

3つ確認してください。相場そのものが下がっていないか(だとすれば下げても追いつきません)、写真とタイトルが見られる状態かそもそも需要のある商品か

価格は、需要がある商品の最後の一押しでしかありません。需要がない商品は、無料でも動きません。その場合は、値下げではなく在庫の入れ替えを検討してください。

この記事を書いた人

Trade Force 運営チーム

Trade Force 運営チーム

越境EC向け販売管理ツール「Trade Force」の運営チーム。自らも eBay で日本のトレーディングカードを販売しており、現場の実体験に基づく情報を発信しています。

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