eBayの価格設定戦略|下限の決め方と、売れないときのテクニック
この記事の3行要約
- 価格は下限と上限の間で決める。下限は計算で出るが、上限は相場が決める
- 売れないときにいきなり表示価格を下げない。先に打てる手が4つある
- 値下げの順番を決めておくと、下げ続けるだけの運用から抜けられる
目次
- 1.はじめに
- 2.eBay価格設定の戦略 : 下限と上限の間で決める
- 2-1.下限価格を計算で出す(手数料率と利益率を織り込む)
- 2-2.上限は相場が決める
- 3.出品形式を選ぶ : 即決かオークションか
- 4.評価が少ないうちの価格
- 5.売れないときのテクニック : 値下げの前に打てる4つの手
- 5-1.1. ウォッチャーにオファーを送る
- 5-2.2. Best Offer で交渉の入口を作る
- 5-3.3. 期間限定の値下げとして見せる
- 5-4.4. まとめ買いに割引を付ける
- 6.単価帯によって、効く戦略が変わる
- 6-1.低単価(数十ドル)の商品
- 6-2.中単価(百ドル前後)の商品
- 6-3.高単価(数百ドル以上)の商品
- 7.値下げの順番を決めておく
- 8.見直しは習慣にする
- 9.やらないほうがいい値付け
- 10.下限を毎回計算するのは大変です
- 11.まとめ
- 12.よくある質問
はじめに
価格をいくらにするか。出品のたびに一番迷うのがここだと思います。
相場を調べて、だいたいの見当はつく。でも、その価格で出して売れなかったとき、次に何をすればいいのかが分からない。そして多くの人が、とりあえず値下げするという一手だけを繰り返すことになります。
値下げは効きます。ただ、一度下げた価格は上げにくいという性質があります。下げ続けた先にあるのは、売れているのに利益が残らない状態です。
この記事では、価格の決め方(下限と上限)と、売れないときに値下げの前に打てる手を整理します。
なお、相場そのものの調べ方はリサーチの記事、手数料の計算は手数料の記事が担当しています。この記事は決めたあとの運用を扱います。
eBay価格設定の戦略 : 下限と上限の間で決める
価格には、2つの境界があります。
下限は計算で出ます。これ以上下げると赤字になる、という線です。自分で決められます。
上限は相場が決めます。同じ商品が他にいくらで売れているか。ここは自分では動かせません。
つまり価格設定とは、この2本の線の間のどこに置くかを選ぶ作業です。線の外に置いてしまうと、売れないか、売れても損をします。
下限価格を計算で出す(手数料率と利益率を織り込む)
必要なのは、この式です。
下限価格 = (仕入価格 + 送料 + 梱包資材) ÷ (1 − 手数料率 − 目標とする利益率)
たとえば手数料率を合計17%、利益率を20%取りたいなら、分母は 1 − 0.17 − 0.20 = 0.63 です。原価の合計をこれで割った額が、下限になります。
ここで手数料率を低く見積もらないでください。落札手数料だけでなく、注文ごとの定額、国際出品手数料、円に替えるときの上乗せまで含めた率で計算します。
もうひとつ、為替のバッファを見込んでおきます。仕入れから入金までには数週間の間があり、その間にレートは動きます。ぎりぎりで組んだ価格は、円高に振れた月にまとめて赤字になります。
上限は相場が決める
上限を知るには、同じ商品が実際にいくらで売れたかを見ます。出品中の価格ではなく、売れた価格です。
相場の調べ方と、そこから最初の価格を決める手順は、リサーチの記事で扱っています。
下限が上限を超えてしまう商品は、そもそも仕入れてはいけない商品です。価格設定の技術で解決できる問題ではありません。
出品形式を選ぶ : 即決かオークションか
価格そのものの前に、どの形式で売るかを決めます。ここで戦略が変わります。
| 形式 | 向いている場面 |
|---|---|
| 即決価格(Buy It Now) | 相場が安定していて、いくらで売れるか読める商品 |
| オークション | 相場が読みにくい商品、希少品、値が付くか試したいもの |
| 即決 + Best Offer | 相場に幅があり、交渉の余地を残したい商品 |
多くの商品は即決で問題ありません。ただ、相場が読めないものを即決で出すのは損です。安すぎれば即座に売れて機会を失い、高すぎれば動きません。
オークションは、市場に値段を決めてもらう方法だと考えてください。開始価格を下限に設定しておけば、下振れは防げます。
評価が少ないうちの価格
始めたばかりの時期は、同じ価格でも売れにくくなります。実績のないセラーから買うことに、買い手は不安があるからです。
対策として「相場より少し下げる」はよく言われますし、方向としては正しいと思います。ただし条件があります。
赤字で回して評価を集めても、その評価で売る商品がまた赤字なら意味がありません。下限を割るくらいなら、単価の安い商品で件数を作るほうが健全です。
評価が積み上がったら、相場に戻す。あるいは、状態や付属品を根拠に少し上に置く。この切り替えを忘れないでください。最初の安値をそのまま続けてしまうのが、いちばん多い取りこぼしです。
売れないときのテクニック : 値下げの前に打てる4つの手
ここからが本題です。出品して数週間、動きがない。このときいきなり表示価格を下げないでください。
eBay には、表示価格を下げずに成約を近づける道具が用意されています。
1. ウォッチャーにオファーを送る
Offers to Buyers は、その出品をウォッチしている人やカートに入れている人に、セラー側から割引価格を提案する機能です。Seller Hub の出品一覧から送れます。
これが優れているのは、関心を示した相手にだけ届く点です。表示価格は下げないまま、買う可能性が高い人にだけ安い価格を見せられます。
ウォッチャーが付いているのに売れていない出品は、この機能の最有力候補です。あと一押しで決まる状態だからです。
2. Best Offer で交渉の入口を作る
Best Offer を有効にすると、買い手が希望額を提示できるようになります。セラーは承諾・拒否・カウンターオファーで応じます。
「交渉が面倒」と感じるなら、自動応答を設定してください。
- 自動承諾価格 — この額以上のオファーは自動で承諾する
- 自動拒否価格 — この額未満のオファーは自動で拒否する
自動拒否価格を下限価格に合わせておけば、赤字のオファーは自動で弾かれます。判断が要る中間帯だけ手動で見ればよくなります。
なお、オファーには有効期限があります(2026年8月時点、米国サイトでは原則96時間)。放置すると失効するので、通知に気づける状態にしておいてください。
3. 期間限定の値下げとして見せる
Sale Event は、対象の出品をまとめて期間限定で値下げ表示できる機能です。値下げ前後の価格が並んで表示されるため、単に安く出し直すのとは見え方が違います。
同じ「$10 下げる」でも、「元は $50 だったものが $40」と見えるかどうかで反応は変わります。下げるなら、下げたことが分かる形で下げるほうが得です。
4. まとめ買いに割引を付ける
Volume Pricing は、同じ出品を2個以上買う人に段階的な割引を出せる機能です。
単価は下がりますが、1回の発送で複数個さばけるので、送料と手間の面では有利になります。同じ商品を複数持っているなら、単純な値下げより先に検討する価値があります。

単価帯によって、効く戦略が変わる
同じテクニックでも、扱う単価によって効き方が違います。
低単価(数十ドル)の商品
注文ごとの定額手数料が重くのしかかります。$0.40 は $30 の商品では 1.3% ですが、$200 なら 0.2% です。単価が低いほど、この定額が利益を削ります。
そのため、低単価帯では1件あたりの値下げ余地がほとんどありません。打つべき手は値下げではなく、まとめ買い割引や同梱発送で1回の取引の金額を上げる方向です。
中単価(百ドル前後)の商品
もっとも価格戦略が効く帯です。値下げの余地があり、交渉も成立しやすく、送料の比率も極端ではありません。
Best Offer とオファー送信の両方が機能します。この帯で価格の型を作ると、そのまま上下の帯にも応用できます。
高単価(数百ドル以上)の商品
金額が大きいぶん、買い手は慎重になります。価格より、状態の説明と信頼の材料が効きます。
値下げよりも、写真の追加・状態の詳細・返品条件の明示が成約に近づきます。加えて、高額な取引では発送方法の条件も変わるので、そこも織り込んで価格を決めてください。
値下げの順番を決めておく
4つの手を打っても動かないとき、はじめて表示価格に手を付けます。
順番を決めておくと、感情で下げずに済みます。
ウォッチャーが付いていない出品は、価格の問題ではありません。そもそも見られていないか、見られても興味を持たれていない状態です。ここで値下げしても、安いだけの見えない出品になります。写真・タイトル・説明の見直しが先です。
そもそも見られていない場合は、商品の詳細項目が埋まっているかも確認してください。
見直しは習慣にする
価格は一度決めて終わりではありません。相場は動きますし、仕入れ値も為替も変わります。
価格の見直しは、月に一度でいいので時間を取ってください。見るのは次の3つです。
- 売れていない出品 — 何週間動いていないか。ウォッチャーは付いているか
- 相場が動いた商品 — 上がっているなら、上げ直す余地がある
- 利益率が落ちた商品 — 為替や送料の変化で、下限が上がっていないか
上げ直しを忘れないでください。値下げは意識して行いますが、値上げは意識しないと一生やりません。相場が上がった商品を安いまま売り続けるのは、静かな損失です。
やらないほうがいい値付け
送料で調整しすぎる。 手数料は送料を含む売上総額にかかります。商品価格を下げて送料を上げても、手数料は減りません。買い手からは「送料が高い店」に見えるだけです。
赤字で回転させる。 「評価のため」「在庫処分のため」は一度きりの判断としては成立します。ただし習慣にすると、忙しいのに残らない商売になります。
オファーを乱発する。 割引オファーを頻繁に送ると、「待てば安くなる店」だと学習されます。定価で買ってくれるはずだった人まで待つようになります。
評価が下がっている状態で値下げする。 Below Standard になると落札手数料に追加6%が乗ります。この状態で値下げしても、利益が二重に削られるだけです。まず指標を戻すのが先です。
下限を毎回計算するのは大変です
ここまで書いてきた話は、下限価格が分かっていることが前提になっています。
とはいえ、商品ごとに仕入価格・送料・手数料率・為替を入れて計算するのは手間です。電卓で1件ずつやっていると、面倒になって「だいたいこのくらい」で決めるようになります。そこから赤字案件が混ざり始めます。
私たちが開発している Trade Force は、商品・在庫・出品・注文・発送・売上をひとつの画面で管理する定額制の OMS(受注管理システム)です。
販売額・送料・為替レート・手数料率・仕入価格を入れると、利益計算がその場で終わる利益計算ツールを備えています。為替レートと手数料率は設定した初期値を読み込むので、画面ごとに違う前提で試算してしまうこともありません。
売上も自動で集計され、手数料や返金を差し引いた入金額まで確認できます。決めた価格が、実際にいくら残したのかを後から追えます。
まとめ
- 価格は下限と上限の間で決める。下限は計算、上限は相場
- 下限は「(原価) ÷ (1 − 手数料率 − 利益率)」。手数料率を低く見積もらない
- 相場が読めない商品は、即決よりオークションが向く
- 評価が少ないうちは少し下げてよい。ただし下限は割らない
- 売れないとき、値下げの前に4つの手がある(オファー送信・Best Offer・Sale Event・まとめ買い割引)
- ウォッチャーが付いていない出品は価格の問題ではない。写真とタイトルを先に直す
- 見直しは月に一度。上げ直しを忘れない
よくある質問
Q1.相場より高い価格で出しても売れますか
売れることはあります。状態が良い、付属品が揃っている、写真で状態が確認できる、といった価格差を説明できる材料があるときです。
逆に、同じ状態の同じ商品を、何の説明もなく高く出しても選ばれません。高く出すなら、高い理由を出品ページで示す必要があります。
Q2.何日売れなかったら値下げすべきですか
日数で機械的に決めるより、ウォッチャーの有無で判断するほうが正確です。
ウォッチャーが付いているのに売れないなら、価格が最後の一押しになっていない状態なので、オファーが効きます。ウォッチャーも付いていないなら、価格以前に見られていないので、値下げしても変わりません。
Q3.Best Offer は必ず有効にしたほうがいいですか
商品によります。相場に幅がある中古品では有効です。相場が固まっている商品では、交渉の手間が増えるだけのこともあります。
有効にするなら、自動拒否価格を下限に合わせるのを忘れないでください。ここを設定しないと、赤字のオファーを1件ずつ手で断ることになります。
Q4.送料無料にすべきですか
買い手が払う総額が同じなら、どちらでも構いません。手数料も総額にかかるので変わりません。
違うのは見え方です。送料込みにすると、商品ページの価格がそのまま総額になります。比較されたときに分かりやすいのは、こちらです。ただし送料の高い大型商品では、商品価格が相場より高く見える点に注意してください。
Q5.値下げしたのに売れません
3つ確認してください。相場そのものが下がっていないか(だとすれば下げても追いつきません)、写真とタイトルが見られる状態か、そもそも需要のある商品か。
価格は、需要がある商品の最後の一押しでしかありません。需要がない商品は、無料でも動きません。その場合は、値下げではなく在庫の入れ替えを検討してください。
この記事を書いた人
Trade Force 運営チーム
越境EC向け販売管理ツール「Trade Force」の運営チーム。自らも eBay で日本のトレーディングカードを販売しており、現場の実体験に基づく情報を発信しています。
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