eBayセラーの詐欺対策|証拠は発送前に作る、750ドル以上は署名確認
この記事の3行要約
- 争うときに必要な証拠は発送前にしか作れない。写真と記録を習慣にする
- 合計750ドル以上の注文では、署名確認を購入した証明が求められる
- 支払いに関する紛争は別ルート。応答は5暦日以内、争えば資金は最大90日保留されることがある
目次
- 1.はじめに
- 2.遭遇する詐欺の型と対策を知っておく
- 2-1.返品で別のものが返ってくる
- 2-2.説明と違うという主張
- 2-3.配送先が転送業者になっている
- 2-4.チャージバック(カード会社への申し立て)
- 2-5.自分でアカウントを止めてしまう型
- 3.証拠は発送前にしか作れない
- 3-1.残し方を決めておく
- 3-2.返品が届いたときも記録する
- 3-3.合計 750 ドル以上は署名確認が必要
- 4.チャージバック・支払い紛争は別ルート
- 5.eBay のセラー保護が守るもの
- 5-1.保護を受けるための条件
- 5-2.問題のあるバイヤーは報告できる
- 6.アカウントを守る(2 段階認証とパスワード)
- 7.発送前に立ち止まる基準を持つ
- 8.自分の出品で自爆しない
- 9.記録が残る仕組みを持つ
- 10.まとめ
- 11.よくある質問
はじめに
eBay の取引の大半は、何事もなく終わります。この前提は崩さないでください。
ただ、数をこなしていれば、そうでない取引にも当たります。返品されてきた箱を開けたら別のものが入っていた。届いているのに届いていないと言われた。ある日ログインできなくなっていた。
こうした場面で明暗を分けるのは、起きたあとの対応力ではありません。起きる前に何を用意していたかです。
この記事では、セラーが遭遇する型と、それぞれに対する備えを整理します。軸は 2 つ、アカウントを守ることと、取引で不当に損をしないことです。
遭遇する詐欺の型と対策を知っておく
返品で別のものが返ってくる
高単価の商品で最も痛い型です(すり替え返品と呼ばれます)。中身を抜かれた箱、故障品、まったく別のもの。
争うためには「送ったものが何だったか」を示す必要があります。発送後には作れない証拠なので、備えるとしたら発送前しかありません。
説明と違うという主張
商品自体には問題がないのに、「説明と違う」として返金を求められる型です。
ここで効くのは、出品時の記載の精度です。状態の説明が曖昧なほど、主張の余地が広がります。逆に、傷の位置まで書いて写真を載せていれば、争える材料になります。
配送先が転送業者になっている
海外の転送サービスの倉庫が配送先になっている注文があります。
このとき、こちらが追跡できるのは転送業者の倉庫までです。そこから先で何が起きても、こちらには記録が残りません。配達完了の記録は取れているのに、届いていないと言われる——という食い違いが起きやすい構造です。
チャージバック(カード会社への申し立て)
eBay 上のやり取りではなく、バイヤーが決済機関に直接申し立てるパターンです。eBay の返品の手続きとは別のルートで進み、期限も条件も違います。後述します。
自分でアカウントを止めてしまう型
外からの詐欺と並ぶリスクが、自分の出品が規約に触れることです。
日本国内では問題なく売れるものでも、eBay では出品できないものがあります。知的財産に関わる出品も同様です。詐欺の被害より、こちらのほうが損失は大きくなり得ます。
証拠は発送前にしか作れない
支払いに関する紛争では、理由に応じて次のような証拠を求められます。
| 申し立ての理由 | 求められる証拠 |
|---|---|
| 商品が届かない / 身に覚えのない取引 | チェックアウト時にバイヤーが指定した住所への配達完了の証拠 |
| 商品が説明と違う | 発送前の商品の状態を示す写真など |
つまり、発送前の写真がない時点で、片方の戦いは始める前に負けています。
やることは難しくありません。
- 商品全体と、傷や汚れのある箇所を撮る(出品時の商品情報と食い違いがないかも確認する)
- 個体を識別できるもの(シリアルなど)があれば、それも撮る
- 梱包した状態と、外装のラベルを撮る
- 注文と紐づけて保存する
面倒に見えますが、実際にやると 1 件あたり数分です。その数分が、数万円の損失と評価を守ります。
残し方を決めておく
撮るだけでは足りません。あとから取り出せる形にしておく必要があります。
| 決めること | 具体例 |
|---|---|
| 何を撮るか | 商品全体・傷の箇所・個体の識別情報・梱包後・配送ラベル |
| いつ撮るか | 梱包の直前(発送作業の一部にする) |
| どう名前を付けるか | 注文番号を入れる。日付だけだと探せない |
| どこに置くか | 端末のカメラロールではなく、注文と紐づく場所 |
| いつまで残すか | 支払いの紛争は後から来る。最低でも数か月は消さない |
一番失敗しやすいのは 3 つ目です。撮ってはいたが、どの注文の写真か分からない——これでは証拠になりません。
返品が届いたときも記録する
高単価の商品では、返送されてきた荷物を開ける様子も記録しておく価値があります。
中身が違った場合、「開けたらこうだった」と示せるかどうかで話が変わります。開封してから「おかしい」と気づいて撮り直しても、それは開封後の写真でしかありません。
すべての返品でやる必要はありません。金額の線を決めて、それ以上は必ず記録するという運用にしてください。
合計 750 ドル以上は署名確認が必要
ここは知らないと取り返しがつかない部分です。
合計 750 ドル以上の注文では、署名確認(signature confirmation)を購入したことの証明が求められます。未着や身に覚えのない取引を理由とした支払いの紛争で争うときの条件です。
つまり、高額な注文を署名なしで送ってしまうと、その時点で争う材料が足りない状態になります。
「どの金額から署名確認を付けるか」は、出品する前に決めておいてください。
注文が入ってから送料を計算して、安い方法を選んで、あとから条件を満たしていないことに気づく。これが一番よくある事故です。高額な商品は、署名確認の費用を織り込んだ価格にしておくのが現実的です。

チャージバック・支払い紛争は別ルート
バイヤーが決済機関に申し立てた場合、eBay の返品の手続きとは別の流れになります。期限が短いので、押さえておいてください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| セラーの応答期限 | 5 暦日以内。応答しないと、決済機関がバイヤー有利の判断をする可能性が高い |
| 争ったときの資金 | 最大 90 日間保留されることがある |
| 保護対象外と判断されたら | 結果の通知から 30 暦日以内に異議を申し立てられる |
なお、eBay が自動的に保護を適用する場合もあります。その場合は紛争の手数料を請求されず、返金分の負担も求められません。
大事なのは、5 暦日という期限を知っておくことです。メールを見落としていた、という理由で終わるのが一番もったいない負け方です。
eBay のセラー保護が守るもの
eBay は、次のような場面でセラー保護を適用すると説明しています。
- 商品が説明と違う(壊れている・部品が足りない)という主張
- 商品が届かないという主張
- バイヤーが使用または破損させたあとに返品された場合
そして、バイヤーの行為が不当だと判断された場合、eBay はそのバイヤーに対処し、ネガティブ・ニュートラルの評価と取引不良を削除するとしています。
保護を受けるための条件
守られる側にも条件があります。
- 追跡情報を提供していること
- 発送期限を守っていること
- 商品説明が正確であること
- バイヤーの連絡に速やかに応答していること
この 4 つは、そのまま日々の運用の話です。特別なことをするのではなく、当たり前を崩さないことが保護の条件になっていると考えてください。
保護は、特定の商品には適用されないことがあります。加えて、eBay が返品や未着のリクエストに介入した場合にも適用されないことがあるとされています。
「eBay に判断してもらえば守ってくれる」と考えるのは危険です。自分で解決して閉じるほうが、結果的に有利です。返品や未着のリクエストが開かれたら、対応期限は 3 営業日です。
問題のあるバイヤーは報告できる
評価の話とは別に、バイヤーを報告する仕組みがあります。
ポリシーに反する行為があった場合は、感情的な返信をするのではなく、こちらを使ってください。やり取りの記録が残っていれば、説明もしやすくなります。
アカウントを守る(2 段階認証とパスワード)
取引の話の前に、そもそもアカウントを失わないことです。
二段階認証を有効にする。 eBay、Payoneer、そして登録しているメールアカウント。この 3 つはセットです。認証アプリを使えるなら、そちらのほうが安全性は高くなります。
パスワードを使い回さない。 どこか 1 つが漏れたときに全部が開くのは、使い回しているからです。管理ツールを使って、サービスごとに別のものにしてください。
メールのリンクから入らない。 eBay や Payoneer を装った連絡は、日本語のものも増えています。「アカウントが停止されます」「至急パスワードを変更してください」は典型です。
対策は単純で、メール内のリンクを踏まないこと。用があるなら、自分でブックマークから開く。この習慣ひとつで、フィッシングはほぼ無効になります。
発送前に立ち止まる基準を持つ
すべての注文を疑っていたら、商売になりません。立ち止まる条件をあらかじめ決めておくのが現実的です。
たとえば、次のような観点があります。
| 観点 | 見るところ |
|---|---|
| 金額 | 自分の平均単価から見て高額か |
| バイヤーの実績 | 評価がほとんどない、作られたばかりのアカウントか |
| 配送先 | 転送業者の倉庫と思われる住所か |
| 請求先と配送先 | 国や地域が食い違っていないか |
| 購入の集中 | 短時間に同じバイヤーから複数の注文が入っていないか |
具体的な金額や件数の線は、自分の商売に合わせて決めてください。単価 2 万円の商品を扱う人と、単価 20 万円の商品を扱う人では、警戒すべき水準が違います。
複数に当てはまる注文は、発送前に一度確認を入れます。
Hi [名前], thank you for your order. Before I ship, I'd like to confirm two things so the package arrives safely:
- Is the address you provided the final delivery address (not a forwarding service)?
- Could you share a contact phone number for customs clearance? Once I hear back, I'll dispatch right away.
(ご注文ありがとうございます。安全にお届けするため、発送前に 2 点確認させてください。1) ご指定の住所は最終的なお届け先でしょうか(転送サービスではないでしょうか)。2) 通関用の電話番号をお知らせいただけますか。ご返信をいただき次第、すぐに発送します。)
返事が来ない、住所の説明が要領を得ない。そうした場合は、無理に発送せずキャンセルという選択肢も持っておいてください。
自分の出品で自爆しない
外からの詐欺よりも、自分の出品が規約に触れてアカウントを失うほうが、損失は大きくなり得ます。
日本国内で合法でも eBay では出品できないもの、知的財産に関わるもの。扱うカテゴリを広げるときは、出品する前に確認する手順を挟んでください。
停止された場合の対応は、別の記事にまとめています。
記録が残る仕組みを持つ
ここまで見てきたとおり、身を守るのは記録です。そして記録は、注文と紐づいていなければ意味がありません。
私たちが開発している Trade Force は、商品・在庫・出品・注文・発送・売上をひとつの画面で管理する定額制の OMS(受注管理システム)です。
商品情報には画像を一緒に登録できます。仕入価格・購入日・追跡番号といった仕入れの記録も残せるので、「この個体をいくらでどこから仕入れ、いつ誰に送ったのか」を後から辿れます。
発送時は配送方法を選んで追跡番号を入れ、出荷を確定するだけ。発送情報はそのまま eBay へ反映されるので、追跡情報の提供という保護の条件が自然に満たされます。
バイヤーからのメッセージも同じ画面に届きます。速やかな応答も保護の条件のひとつなので、連絡を取りこぼさない状態を作ることには意味があります。
仕入れ先の在庫と価格の変化を見張る在庫監視ツールもあります。在庫切れの放置は、キャンセルと発送遅れの原因になり、そのまま保護の条件を崩します。
まとめ
- 争うときに使えるのは、発送前に作った証拠だけ。写真と記録を習慣にする
- 合計 750 ドル以上の注文では署名確認の購入証明が求められる。発送方法は事前に決めておく
- 支払いに関する紛争は別ルート。応答は 5 暦日、争えば資金は最大 90 日保留、対象外の判断には 30 暦日以内に異議
- セラー保護の条件は、追跡情報・発送期限・正確な説明・速やかな応答の 4 つ
- eBay が介入すると保護が適用されないことがある。自分で解決して閉じる
- 二段階認証とパスワードの個別管理。メールのリンクからログインしない
- 発送前に立ち止まる基準を、自分の商売に合わせて決めておく
よくある質問
Q1.すり替え返品を疑っていますが、証明できません
発送前の写真がない場合、証明は難しくなります。今回は損失として受け止め、次からの運用を変えてください。
高単価の商品では、発送前の撮影に加えて、返品が届いたときの開封を記録しておく方法もあります。「返ってきたものが何だったか」を示す材料になります。
Q2.転送業者宛ての注文は断るべきですか
一律に断る必要はありません。ただし、リスクの構造を理解したうえで受けるべきです。
転送先に届いた時点でこちらの追跡は終わります。金額が大きい注文でこの構造が重なるなら、署名確認を付ける、追跡の細かい配送方法を選ぶ、といった上乗せの備えを検討してください。
Q3.支払いの紛争が来ました。何から手を付けますか
期限の確認が最初です。応答は 5 暦日以内です。
次に、理由を確認します。未着なら配達完了の証拠、説明と違うなら発送前の写真。求められるものが理由によって違うので、手元にある材料と照らしてから返答してください。返答の内容よりも、期限内に必要なものを出せるかどうかが結果を決めます。
Q4.詐欺が怖くて高額な商品を扱えません
無理に扱う必要はありません。ただ、単価が低いほど安全というわけでもないことは知っておいてください。低単価には低単価のトラブルがあり、件数が増えれば対応の総量も増えます。
現実的なのは、扱う単価に応じて備えを変えることです。高額なら署名確認と撮影を必須にする。低額なら返品不要の返金で早く閉じる。金額に応じたルールを先に決めておけば、その都度悩まずに済みます。
この記事を書いた人
Trade Force 運営チーム
越境EC向け販売管理ツール「Trade Force」の運営チーム。自らも eBay で日本のトレーディングカードを販売しており、現場の実体験に基づく情報を発信しています。
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