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eBay VeRO対策|正規品でも出品が削除される理由と、出品前の5つの確認

更新 公開約19分トラブル対応

この記事の3行要約

  • VeROは権利者が知的財産権の侵害を申し立てる仕組み。「正規代理店ではない」「値段が安い」はそれだけでは申告の理由にならない
  • 正規品でも消えるのは、画像・タイトルのブランド名・地域制限・ロゴや保証の書き方に原因があることが多い
  • 削除されたら、同じ問題を抱えた他の出品を先に見直す。異議が通るのは権利者の許可を示せるときで、材料が無ければ修正か取り下げの依頼に回る
目次

はじめに

出品が突然消えている。eBay からのメールを開くと、知的財産権の侵害を理由に削除された、と書かれている。

思い当たることがない。仕入れたのは正規品で、偽物を扱った覚えもない。

eBay 輸出をしていると、この状況に出くわすことがあります。背景にあるのが VeRO(Verified Rights Owner Program)という仕組みです。

やっかいなのは、偽物を売っていなくても削除されうる点です。商品そのものではなく、出品の作り方が理由になることがあります。

そしてもうひとつ。削除が積み重なると、出品制限やアカウント停止に進みます。1 品の損失で終わらない、というのがこの話の本質です。

この記事では、eBay が公開している知的財産ポリシーをもとに、なぜ正規品でも削除されるのかを型ごとに整理し、出品前の確認と削除されたときの動きに落とします。

VeRO が何であるかの説明は最小限にとどめ、防ぎ方と、削除されたあとの動きに紙面を使います。

この記事の範囲

本記事は eBay が公開しているポリシーとセラー向けガイドをもとに整理したものです。個別の商品が知的財産権を侵害するかどうかの判断は、法的な評価を伴います。 eBay 自身も、判断に迷う場合は法的助言を求めるよう案内しています。扱う商材について懸念がある場合は、専門家にご相談ください。

VeROは何を見ていて、何を見ていないのか

VeRO が見ているのは、出品が知的財産権を侵害しているかどうかだけです。誰が売っているかや、いくらで売っているかは見ていません。ここを誤解したまま対策を立てると、見当違いの心配をすることになります。

権利者が申し立て、eBayが判断して削除する

VeRO は、知的財産権を持つ権利者やその正規代理人が、侵害の疑いがある出品を eBay に報告するためのプログラムです。

eBay の説明によると、報告は Notice of Claimed Infringement(NOCI)という書面で提出されます。eBay は提出された内容に必要な情報が揃っているかを確認し、足りなければ権利者に追加の情報を求めます。そのうえで知的財産権を侵害していると判断された出品は削除され、セラーには理由の説明とともに通知が届きます。

フロー図: 権利者が侵害を申し立てる / eBay が内容を確認する / 侵害と判断されたら出品を削除 / 理由・該当箇所・修正方法 / 出品を修正する / 異議を申し立てる / 権利者に直接連絡する

押さえておきたいのは、申し立てるのは権利者側で、eBay はその申し立てを受けて動く立場だという点です。セラーの販売実績や評価とは別の系統で進みます。

繰り返しの侵害があるセラーについて、eBay は出品制限やアカウント停止を含むさらなる措置を取ることがある、と書いています。何回で何が起きるという基準は公開されていないので、回数を数えて安心する種類の話ではありません。

「正規代理店ではない」は、それだけでは理由にならない

ここが、実務でいちばん誤解されている部分です。

eBay は権利者向けのページで、VeRO で報告してはいけない理由を明示しています。挙げられているのは次のようなものです。

  • 商品がどこで、どのように再販されるかを管理すること
  • 一定の価格を下回る販売を防ぐこと
  • 政府が規制していて違法な商品

さらに、同じページの FAQ にこう書かれています。

The VeRO program only applies to intellectual property rights, not distribution or pricing agreements. eBay is a global marketplace, and it doesn't restrict the sale of items based on distribution contracts or selective selling policies unless there is a valid IP violation.

要約すると、VeRO の対象は知的財産権だけであって、流通契約や選択的販売のポリシーではありません。有効な知的財産権の侵害がない限り、eBay は流通契約を理由に販売を制限しない、という立場です。

つまり「認定リセラーではないから危ない」という理解は、そのままでは正しくありません。認定リセラーかどうかは、それ自体では申告の根拠にならないからです。

VeRO が見ているのは「誰が売っているか」ではなく「その出品が知的財産権を侵害しているか」です。防ぐべきは販売資格の不足ではなく、出品の作り方に混ざった侵害です。

では、なぜ正規品でも消えるのか。次章で型に分けます。

VeROで正規品を売っていても出品が消える4つの型

eBay のポリシーが挙げている侵害の例を、日本のセラーが踏みやすい順に 4 つの型へ整理します。

型1:画像と説明文の無断使用

最初に挙げるのは、自分の裁量だけで防げるのにいちばん見落とされやすい型だからです。

eBay は、写真・動画・説明はすべて自分で作ったものであるべきで、他のウェブサイト・メーカーのサイト・第三者のカタログからコピーしたものは、許可がない限り使ってはならないとしています。ストック写真を無断で使うことも、加工して使うことも同じ扱いです。

ここで見落とされがちなのは、商品そのものは完全に正規品でも、この型に当てはまるという点です。侵害しているのは商品ではなく出品の中身なので、正規品であることは反論になりません。

もうひとつ、日本語では意識されにくい権利があります。ポリシーは著作権とは別に著作隣接権を挙げていて、写真家・実演家・プロデューサー・放送局・出版社による実演や制作を保護すると書いています。CD やレコード、映像作品、書籍を扱うなら、著作者の許可とは別にこの層の権利が乗ることがあります。「作者は亡くなっているから大丈夫」という考え方が通らないのは、ここに理由があります。

救いもあります。eBay のポリシーには、出品方法が原因である場合は該当する内容を出品から削除する形で修正できることがあると書かれています。商品が違法なわけではないので、直せる余地が残っているわけです。

同じ条文は、自分の出品を守る側でも使えます。自分の写真や説明文が丸写しされたときの報告のしかたは、eBayの競合分析と差別化の記事の後半で扱っています。

型2:タイトルのブランド名の使い方

次は、タイトルへのブランド名の書き方です。

eBay が商標侵害の例として挙げているものに、次のようなものがあります。

  • iPhone 用に作られた一般的なケースを「Apple」というブランド名のもとで出品すること
  • アディダスのシューズを出品し、「ナイキ」というブランド名を追加して検索結果を誘導すること

2 つ目は、いわゆるキーワードスパムです。関連の薄いブランド名を並べて露出を稼ぐ書き方は、それ自体が商標権の侵害になりうるとされています。

1 つ目は、互換品の書き方の問題です。互換品にブランド名を使うこと自体は禁じられていません。書き方に決まりがあるだけです。ここは間違えやすいので、章を分けて整理します。

長く続いている作品のグッズでは、当時のものと復刻が混在していることも申し立ての背景になります。年代の切り分けは別の記事にまとめました。

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型3:並行輸入 ── 本物かどうかではなく、どこで売るか

日本から輸出しているセラーにとって、いちばん判断が難しい型です。

eBay のポリシーは、並行輸入品を「知的財産権所有者の許可なく、ある国や地域で販売されている純正商品」と定義したうえで、こう書いています。

並行輸入は、権利所有者がその管轄区域での輸入または販売を許可していない場合、その管轄区域で知的財産権を侵害していると見なされることがあります。

例も挙がっています。米国内でのみ販売することを目的としたブランドのハンドバッグをフランスの購入者に販売した場合、これは侵害となる可能性がある。対照的に、欧州経済領域内で権利者によって、あるいは権利者の同意を得て販売されたバッグであれば、他の理由による侵害がない限り、追加の同意なしに欧州経済領域内で転売できる。

前章の「流通契約は VeRO の対象ではない」という説明と矛盾しているように見えるかもしれません。しかし、軸が違います。

判断の軸になるもの

  • その地域で、権利者が販売や輸入に同意しているか
  • 商品が正規のルートでその市場に置かれたものか
  • 発送先がその範囲に収まっているか

判断の軸にならないもの

  • 認定ディーラー・正規代理店であるかどうか
  • 権利者が結んでいる流通契約の内容
  • 販売価格が安いかどうか

契約上の販売網の話ではなく、権利が及ぶ地域の話だ、と読むと筋が通ります。同じ商品でも、どこへ売るかで結論が変わるということです。

対処法もポリシーに書かれています。eBay は、取引ポリシーで配送を行わない国を除外できると案内しており、セラー向けのガイドでも「販売が認められている地域にだけ出品する」「地域制限のある商品に国際配送を提供しない」と明記しています。

つまりこの型は、出品を取りやめる以外に、発送先を絞るという選択肢がある型です。扱いをやめる前に、まず送り先の設定を見直してください。

型4:ロゴ・保証・トレードドレス

残りをまとめます。単独では地味ですが、どれも実際に起きます。

第三者のロゴを足すこと。 商品自体に印字されているロゴは商品の一部ですが、画像や説明にブランドのロゴを別途加えるのは商標侵害にあたるとされています。似せたロゴを自作することも同様です。

保証の書き方。 eBay のポリシーは、販売商品がメーカー保証の対象でないのに対象であると偽って表示することを、商標侵害の一形態と見なされうるとしています。セラー向けガイドはさらに踏み込んでいて、保証を付けるなら自分が提供するのか第三者かを明示すること、メーカー保証に触れるなら転売がカバーされるかを確認し、されないなら保証がない旨を明記することを求めています。中古品や並行輸入品を扱うなら、ここは避けて通れません。

トレードドレス。 商品の外観そのものが識別標識として保護される場合があります。ポリシーの例は、コカ・コーラ製ではないのにコカ・コーラのボトルの輪郭デザインを持つ商品です。

パブリシティ権。 人の名前・肖像・声・署名などを、本人の同意なく商売に使うことも侵害の例に挙がっています。ポリシーの例は、有名人が推奨している、あるいは本人と関係があるかのように示す出品と、本人の画像を無断でプリントした T シャツやポスターです。タレントやスポーツ選手の写真が載った商品を扱うなら、商品そのものが正規に作られたものかどうかと、出品の文面が本人の推奨をほのめかしていないかの 2 つを分けて見てください。

出品ページの外も見られます。 第三者の商標を無断で使い、権利者と組織的なつながりがあるかのように示唆するユーザー名やストア名は対象です。ポリシーはさらに、プロフィール画像に第三者の写真・商標・ロゴを使うこと、フィードバックで第三者の写真を使うこと、eBay Live のイベントで著作権のある楽曲を流すことも例に挙げています。出品を 1 品ずつ点検していても、ここは視野に入りません。アカウントを作ったときに設定してそのままになっているものなので、一度だけ見直せば済みます。

なお、偽造品については別枠で厳しく扱われます。eBay は、出品には複数の異なる角度から関連するすべての詳細を鮮明に撮影した写真を含める必要があり、ロゴや商品の他の部分が写真で隠れたりぼやけたりしてはならないとしています。真贋が問われやすい高額カテゴリでは、Authenticity Guaranteeの対象になっているかどうかも先に確認しておくと安心です。

正規品でも出品が消える 4 つの型 — 画像と説明文が自分のものでない(他サイト・メーカーサイト・カタログからの流用。商品ではなく出品が理由になる)、タイトルのブランド名の使い方(関連の薄いブランド名で露出を狙う書き方は、それ自体が商標の侵害になりうる)、並行輸入 — 売る先の地域(認定ディーラーかどうかではなく、その地域に権利者の同意があるかで決まる)、ロゴ・保証・トレードドレス(画像に足したロゴ、転売後を確認していない保証の記載も対象になる)、商品が正規品であることは、出品の作り方が理由の削除への反論にならない

VeRO対策としてブランド名をタイトルに書くときの4類型

型 2 を実務に落とします。eBay のセラー向けガイドは、商品の性質を 4 つに分けて指針を示しています。

商品の性質ブランド名の扱い
そのブランドが製造した商品(例: スニーカー)本当にそのブランド製のときだけ使う。比較や検索対策のために別のブランド名を足さない
1 ブランド専用の互換品(例: スマホケース)ブランド名は使えるが、前に compatible with / fits / for のような互換であることを示す語を付ける
複数ブランドに対応する商品(例: 車の部品)タイトルに書けるブランド名は 1 つだけ。互換の語を前に付ける。他のブランドは説明欄に、同じく互換の語を付けて書く
汎用品(例: USB-C ケーブル)互換性を示す目的でブランド名を使わない

複数ブランド対応の商品については、eBay の部品の互換性ガイド(fitment chart)を使うか、自分で互換表を作って、どのモデルに合うかを明示してよいとされています。タイトルにブランド名を並べる代わりに、表で示せ、という考え方です。

日本語で考えていると「〇〇用」と書けば足りる気がしますが、英語のタイトルでは for や compatible with といった語が実際に入っているかが問われます。互換品を扱っているなら、出品テンプレートの段階でこの語を固定してしまうのが確実です。

商品タイトルの作り方そのものは、検索での見つかりやすさとも直結します。ただし順番があって、書ける文字数の話より、書いてはいけない語の話が先に来ます。80 文字をどう使うかは、権利の観点で使えない語を外したあとの問題です。

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VeRO対策として出品前に確認する5つのこと

eBay は「出品が知的財産を侵害していないことを確認するにはどうすればよいか」という問いに、5 つの答えを用意しています。自作のチェックリストより確実なので、これをそのまま確認手順にします。

1. 出品の中身を自分で作る

文章を自分で書き、写真を自分で撮る。他のウェブ検索・メーカーのサイト・第三者の製品カタログから、許可なくテキストや画像を持ってこない。

この項目は、自分の裁量だけで完全に満たせる数少ない対策です。ブランド側の基準がどうであれ、自分で撮った写真と自分で書いた文章なら、この型では申し立てを受けません。

撮影のときにひとつ注意点があります。eBay は、自分で撮る際も他人の画像を模倣しないよう求めています。構図ごと真似れば同じ問題が起きうる、ということです。

2. ブランド名の使い方を確認する

認定ディーラーや再販業者でないなら、そうであるかのような書き方をしない。ブランド品のために作られた商品を出品するなら、ブランド名に適合品であることを示す語を添える。

前章の 4 類型を、出品するたびに当てはめる作業になります。扱う商材が固定されているなら、カテゴリごとに書き方のひな形を決めてしまえば、毎回考えなくて済みます。

3. VeRO参加者プロフィールを見る(そして、その限界を知る)

権利者の一部は、eBay 上に参加者プロフィールを公開しています。自社の知的財産の範囲、適切な使い方、出品に必要な許諾、連絡先などが書かれたページです。

内容は権利者自身が用意して管理しているもので、eBay が書いているわけではありません。だからこそ、そのブランドが何を問題視するかが直接分かります。扱うブランドのプロフィールがあるなら、出品前に読む価値があります。

ただし、ここには重要な限界があります。eBay 自身が、このページについて次の 2 点を明記しています。

  • これは eBay 上で知的財産権を持つすべてのブランドの一覧ではない
  • VeRO プログラムに参加している権利者のすべてがプロフィールを載せているわけでもない

「リストに載っていないから安全」という読み方はできません。リストは、載っているブランドについて基準を教えてくれるものであって、載っていないブランドの安全を保証するものではないからです。

このずれは、対策の設計に影響します。リストの照合だけを対策にすると、載っていないブランドが丸ごと死角になります。だから、リスト確認は 5 つのうちの 1 つに過ぎず、残りの 4 つ、とくに 1 と 2 のほうが土台になります。

4. eBay製品カタログを使う

eBay の製品カタログに登録されている商品なら、カタログの画像や商品詳細を出品に活用できます。

自分で撮る手間が減るうえに、画像の出所の問題も回避できます。カタログにある商品を扱っているなら、これがいちばん確実で早い方法です。

5. 説明と保証の記述が正確か確認する

出品に書いた説明や宣伝文が正確で、過不足がないかを確認します。eBay は、ブランドや製品に関する虚偽・不正確・誤解を招く文言を含む出品は、権利者から報告されうると書いています。

型 4 で触れた保証の書き方は、ここに含まれます。「メーカー保証あり」と書く前に、その保証が転売後もカバーされるかを確認する。確認できないなら書かない。それだけで 1 つ減らせます。

出品前に確かめる 5 つのこと — 出品の中身を自分で作る(文章を自分で書き、写真を自分で撮る。他人の構図を模倣することも避ける)、ブランド名の使い方を確認する(認定ディーラーを名乗らない。互換品には for や compatible with を添える)、参加者プロフィールを見る(載っていない = 安全ではない。完全な一覧ではないと eBay 自身が明記している)、eBay 製品カタログを使う(登録済みの商品なら、カタログの画像と商品詳細を出品に活用できる)、説明と保証の記述を確かめる(転売後もカバーされるか確認できない保証は、はじめから書かない)、リスト照合は 5 つのうちの 1 つ。土台になるのは 1 と 2 のほう

VeROで出品が削除されたときにやること

削除の通知が届いたら、通知で理由を確かめ、同じ原因を抱えた他の出品を先に直し、そのうえで異議・権利者への連絡・修正のどれにするかを決めます。この順に見ていきます。

通知に書いてあること

eBay によると、出品が削除された場合、セラーには次の 3 点が通知されます。

  • なぜ出品が削除されたのか
  • 出品のどの部分が知的財産権を侵害している可能性があるのか
  • 可能な場合、どのように出品を修正すればポリシーに準拠するのか

3 つ目が重要です。修正の余地があるケースでは、その方法が通知に書かれます。商品自体が問題なのか、出品の作り方が問題なのかは、ここで見分けられます。

英語で届くので、まず全文を読める状態にしてください。要点を推測で埋めると、修正できるものを取りやめたり、逆に取りやめるべきものを再出品したりします。

最初にやるのは、同じ問題を抱えた他の出品の見直し

削除された 1 品にどう対応するかを考える前に、やることがあります。

同じ原因を抱えている他の出品を洗い出して、先に手を打つことです。

理由は単純で、原因が出品の作り方にあるなら、それは 1 品だけの問題ではないからです。同じテンプレートで作った出品、同じ仕入れ先の同じブランドの商品、同じ書き方をしたタイトル。どれも同じ理由で申し立てられる状態にあります。

そして eBay は、繰り返しの侵害があるセラーには出品制限やアカウント停止を含むさらなる措置を取ることがある、と明言しています。2 件目・3 件目が積み上がる前に自分で止めるほうが、確実に軽く済みます。

洗い出しの順番は、通知に書かれた「どの部分が侵害の可能性があるか」から逆算するのが早いです。画像が理由なら同じ出所の画像を使った出品、タイトルが理由なら同じ書き方をしたタイトル、地域が理由なら同じブランドで発送先を絞っていない出品、という具合です。

異議申し立てと、権利者への直接連絡

自分の出品に問題がなかったと考える場合の話です。

eBay は、出品が削除されたときの選択肢として次の 3 つを挙げています。

  • 知的財産ポリシーを確認する
  • 異議を申し立てる
  • 権利者に直接連絡する

「eBay ではなく権利者に連絡するしかない」と説明されることがありますが、正確ではありません。異議申し立てと権利者への直接連絡は、どちらも用意されています。

権利者への連絡が有効なのは、判断の材料を持っているのが権利者側だからです。参加者プロフィールがあるブランドなら、そこに連絡先と、どういう場合に出品を認めるかが書かれていることがあります。eBay も、疑問があれば権利者に直接問い合わせるよう案内しています。

どちらの経路を使うにせよ、手元に揃えておきたいものは共通です。

  • 仕入れの証拠(購入時の記録・領収書)
  • 出品に使った画像が自分で撮影したものであることを示せる材料
  • 出品が権利者の公開しているガイドラインに沿っていたことの説明

修正できる削除なら、直して再出品する

前述のとおり、出品方法が原因の場合は、侵害している内容を出品から取り除く形で修正できることがあります。

このとき、元の出品を編集して直すのか、新しく作り直すのかは通知の指示に従ってください。指示を確認せずに同じ内容で再出品すると、同じ申し立てを繰り返し受けることになります。出品の修正そのものは難しい操作ではありませんが、何を直すのかが分かっていないと意味がありません。

商品自体が禁止されている場合は話が別で、修正では解決しません。この線引きも通知から読み取ります。出品違反が積み重なるとアカウントの停止に進むため、判断を保留したまま出品を残しておくのは避けてください。

VeROの削除に異議を出すか、直すかは、手元の材料で決まる

どの手を取るかは、手元に何があるかで決まります。eBay の出品者向けの知的財産のページは、削除への対応を「権利者の許可を示す材料があるとき」と「材料が無いとき」に分けて案内しています。

手元にあるもの・状況次の手
権利者から使用を認められていることを示す書類(契約書の写しなど)異議を申し立てて、その書類を出す。VeRO の担当窓口(vero@ebay.com)へ書類を送る経路もある
誤って報告されたと考えるが、示せる材料が無い権利者に連絡して、報告の取り下げを頼む。権利者が誤りを認めれば、権利者から eBay へ取り下げが届く
画像や説明文の書き方が理由問題の部分を取り除いて出品を直し、出し直す。修正は Resolution Hub から行える
偽造品として報告された同じ商品は出し直せない。出し直そうとすると、出品制限やアカウント停止につながることがある
米国で、著作権を理由に削除された米国の著作権法(DMCA)にもとづく異議の通知(Counter Notice)を出せる。窓口は copyright@ebay.com

いちばん上の行が求めているのは、権利者から使ってよいと認められていることを示す材料です。正規品を仕入れたという領収書とは、求められているものが違います。材料が無いなら、異議を重ねるより、下の行のどれに当たるかを見るほうが早く片付きます。

最後の行は、米国の著作権の報告に限った手続きです。有効な通知が届くと、eBay はその写しを権利者に渡し、10 営業日以内に権利者が裁判所の命令を求める手続きを取ったと知らせてこなければ、出品を元に戻すと書かれています。

権利者の連絡先は、自分で探さなくても届きます。削除の知らせは My eBay のメッセージに届き、報告した権利者の名前と連絡先が書かれています。連絡するときに添えるものとして、eBay は ユーザー ID・登録しているメールアドレス・削除された出品の番号・できれば商品の画像を挙げています。

見落としやすい点が 2 つあります。

  • 出品を終了しても、違反は消えません。権利者が報告した時点で問題があった以上、あとから終了しても編集しても、その違反は残ると書かれています
  • 直してから異議を出すと、異議は直す前の出品に対して判断されます。直した出品は別の件として審査され、結果もそれぞれに届きます

どちらも、慌てて出品を触る前に知っておくと、無駄な動きが減ります。

削除の通知が届いてからの 4 手 — 通知の 3 点を読む(なぜ削除されたか / どの部分が侵害の可能性があるか / どう直せるか)、同じ原因の出品を先に止める(同じ画像・同じひな形・同じブランド。2 件目が積み上がる前に自分で止める)、直せる削除なら指示どおり直す(出品方法が理由なら、該当箇所を取り除いて修正できることがある)、異議申し立てか権利者へ連絡する(どちらも用意されている。仕入れの証拠と撮影の材料を先に揃える)、商品自体が許可されていない場合は、書き方を直しても解決しない

アカウント停止そのものの原因と復旧の流れは、別の記事で扱っています。

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出品数が増える段階の考え方

最後に、規模が変わったときの話をします。

1品ずつの判断は、どこかで限界が来る

出品が 20 品のうちは、1 品ずつ考えられます。100 品、300 品と増えると、扱うブランドとカテゴリの幅が広がり、1 品ずつブランドの権利状況を調べる時間が取れなくなります。

そして厄介なのは、判断を省いた出品ほど、後から見返しにくいことです。どの出品でどの画像を使ったか、どのタイトルにどのブランド名を入れたか。記録がなければ、削除の通知が来たときに横展開の確認ができません。

だから、規模が増える段階でやるべきことは「もっと丁寧に調べる」ではありません。判断を毎回やり直さなくて済むように、書き方を固定することです。

  • 画像は自分で撮ったものだけを使う、と決めてしまう
  • 互換品のタイトルは for / compatible with を含むひな形から作る
  • 地域制限がありそうなブランドは、発送除外の設定をカテゴリごとに決めておく
  • 保証に触れる文面はテンプレートから外す

いずれも 1 回決めれば済み、出品数が増えても手間が増えません。逆に、リストとの照合のように「1 品ごとに調べる」性質の対策は、出品数に比例して時間を食います。固定できるものを固定してから、調べるべきものを調べるという順番が現実的です。

月に一度、出品中のものを見直す

それでも、状況は変わります。権利者は増えますし、基準も変わります。昨日まで問題なく出品できていたものが、今日から申し立ての対象になることはあります。

月に一度、出品中の商品を眺める時間を作ってください。見るのは全件ではなく、次に当てはまるものだけで十分です。

見る対象何を見るか
ブランド品参加者プロフィールが更新されていないか
互換品タイトルに互換の語が入っているか
地域が限定されそうな商品発送除外の設定が意図どおりか
古い出品画像の出所が思い出せるか。思い出せないものは撮り直す

最後の項目が、いちばん効きます。出所を思い出せない画像は、いずれ問題になります。気づいたときに撮り直すほうが、削除されてから慌てるより安いはずです。

出品全体のリスク管理という意味では、詐欺やアカウント乗っ取りへの備えも同じ文脈にあります。

あわせて読みたい

なお、VeRO は権利者からの申し立ての枠組みで、商品そのものが偽物である場合は偽造品ポリシーという別の枠になります。仕入れの時点で止める手順は、そちらの記事にまとめています。

このあと紹介している記事 (4 本)

eBayの外から請求が届いたとき

ここまでは、eBay の仕組みの中で出品が削除される話でした。これとは別に、権利者を名乗る相手から直接、支払いを求める連絡が届くことがあります。

差出人が eBay かどうかで、次にやることが変わります。切り分けと初動は、別の記事にまとめました。

出品の中身を揃えておく

ここまで見てきたとおり、VeRO 対策の実体は「出品の中身を自分の管理下に置くこと」に集約されます。画像がどこから来たのか、タイトルをどのひな形から作ったのか、どの商品をどこへ送る設定にしているのか。これらが辿れる状態なら、削除の通知が来ても横展開の確認が数分で終わります。

私たちが開発している Trade Force は、商品・在庫・出品・注文・発送・売上をひとつの画面で管理する定額制の OMS(受注管理システム)です。

出品文とコンディション説明はテンプレートとして登録できるので、互換であることを示す語を必ず入れる、保証には触れない、といった方針をひな形の側に固定できます。前節で挙げた「固定できるものを固定する」を、記憶ではなく仕組みで持てる形です。

どの商品をどう出品したかが 1 か所に残るため、削除の通知が来たときの横展開の確認もここで完結します。すでに eBay で販売している方は、既存の出品を取り込んでそのまま見直しの対象にできます。修正は取り下げずに反映できます。

ただし、権利関係を判定する機能はありません。VeRO のリストと自動で照合したり、画像の出所を判定したりはしないので、判断はセラーが行うものという前提は変わりません。ツールが引き受けるのは、その判断を毎回やり直さずに済ませることだけです。

まとめ

長くなったので、最後に要点だけ並べます。

VeRO が見ているのは知的財産権だけです。 権利者向けのページには、再販の経路や価格を管理する目的で報告してはいけないと書かれており、流通契約や選択的販売のポリシーは対象外だと明言されています。

正規品でも、出品の作り方で削除されます。 他所から持ってきた画像や説明文、関連の薄いブランド名を含むタイトル、加えたロゴ、根拠のない保証の記載。いずれも商品ではなく出品が理由です。

並行輸入の判断軸は、地域です。 認定ディーラーかどうかではなく、その地域に権利者の同意があるか。発送先を絞るという対処法が公式に案内されています。

互換品のブランド名には書き方があります。 商品の性質に応じて 4 つの類型があり、複数ブランド対応ならタイトルに書けるブランド名は 1 つだけです。

参加者プロフィールは完全な一覧ではありません。 載っていないブランドの安全を保証するものではないので、リスト照合だけを対策にしないでください。

削除されたら、まず横展開を止めます。 同じ原因を持つ他の出品を先に見直す。そのうえで、異議申し立てと権利者への直接連絡のどちらも使えます。

そして、これらを毎回考え直さないことです。画像は自分で撮る、互換品のタイトルはひな形から作る、地域制限は発送設定で守る。決めてしまえば、出品数が増えても対策の手間は増えません。

出品の作り方そのものを見直したい方は、こちらもあわせてご覧ください。

よくある質問

Q1.正規品を仕入れた証拠があれば、VeROで削除されても復活しますか
A1.

証拠があること自体は有利に働きますが、それだけで自動的に復活するわけではありません。

削除の理由が商品の真贋ではなく出品の作り方だった場合、仕入れの証拠は論点に触れていないからです。通知に書かれた「出品のどの部分が侵害の可能性があるか」を先に確認して、そこに対応する材料を揃えてください。

そのうえで、eBay への異議申し立てと、権利者への直接連絡の両方が選択肢として用意されています。権利者が参加者プロフィールを公開しているなら、そこに書かれた条件と自分の出品を突き合わせて説明するのが近道です。

Q2.VeROのリストに載っていないブランドなら出品しても大丈夫ですか
A2.

そうとは限りません。

eBay は参加者プロフィールのページについて、eBay 上で知的財産権を持つすべてのブランドの一覧ではないこと、そして VeRO に参加している権利者のすべてがプロフィールを載せているわけでもないことを明記しています。

リストは、載っているブランドが何を問題視するかを教えてくれるものです。載っていないことは情報がないという意味であって、安全という意味ではありません。リスト照合よりも、画像を自分で撮る・タイトルの書き方を守るといった、ブランドに依存しない対策のほうが土台になります。

Q3.「〇〇風」「〇〇タイプ」という書き方は問題になりますか
A3.

商品がそのブランド製でないのにブランド名を使っている、という構造は同じです。

eBay が挙げている商標侵害の例には、ブランドが製造していない、またはブランドと特別な互換性がない商品を、そのブランドの商標やブランド名を使って出品することが含まれています。閲覧数を増やす目的での使用も明示的に挙げられています。

一方、特定のブランド専用に作られた互換品であれば、compatible with / fits / for のような互換であることを示す語を前に付けたうえでブランド名を使えます。専用に作られた互換品なのか、単に似ているだけなのかで扱いが分かれます。

Q4.出品を削除されたあと、同じ商品を再出品してもいいですか
A4.

通知の内容次第です。

出品方法が原因で、修正の方法が通知に書かれているなら、その指示に沿って直したうえで出品できることがあります。eBay のポリシーにも、侵害している内容を出品から削除する形で修正できることがあると書かれています。

一方、商品そのものが許可されていない場合は、書き方を直しても解決しません。この線引きを確認せずに同じ内容で再出品すると、同じ申し立てを繰り返し受け、結果として侵害の回数を自分で増やすことになります。

Q5.出品を全部見直しましたが、ほかに確認する場所はありますか
A5.

出品ページの外にもあります。ポリシーは、プロフィール画像での第三者の写真・商標・ロゴの使用、ユーザー名やストア名への第三者の商標の使用、フィードバックでの第三者の写真の使用、eBay Live での著作権のある楽曲の使用を、いずれも侵害の例として挙げています。

これらはアカウントを作ったときに一度設定したきりになりがちで、出品を点検する目線では引っかかりません。ブランドのロゴをアイコンにしている、ストア名にブランド名が入っているといった状態が残っていないかを、一度だけ確認してください。

出品と違って数が増えないので、確認は一度で済みます。

Q6.日本国内で正規に仕入れた商品を海外へ売るのは、並行輸入にあたりますか
A6.

商品と販売先によります。

eBay のポリシーは、権利者がその地域での輸入や販売を許可していない場合に、並行輸入が知的財産権の侵害と見なされることがあるとしています。判断の軸は仕入れ元の正当性ではなく、売る先の地域に権利者の同意があるかです。

心配なブランドについては、まず参加者プロフィールがあれば確認してください。そのうえで、地域が限定されていそうなら、eBay の配送設定で該当する国を除外できます。eBay 自身も、販売が認められている地域にだけ出品する、地域制限のある商品に国際配送を提供しない、という対処法を案内しています。

Q7.VeROで削除された出品を終了すれば、違反の記録は消えますか
A7.

消えません。

eBay の出品者向けの知的財産のページは、権利者がすでに報告した出品については、あとから終了しても編集しても違反は消えないと書いています。報告された時点で問題があったから、という理由です。終了した出品もサイト上では見える状態で残ります。

できるのは、同じ原因を抱えた他の出品を報告される前に直すことです。違反が重なると、出品制限から永久停止まで段階的に重くなる、とも書かれています。

Q8.VeROで出品が削除されたら、手数料は返金されますか
A8.

返金の対象になることがあります。

eBay は、ポリシー違反で削除された出品について、どのポリシーに違反したかと、過去に同じような問題があったかによって返金の対象になりうると書いています。削除されればいつでも戻る、という書き方ではありません。

参照リンク

本記事で参照した eBay 公式のページです。ポリシーは改定されることがあるため、実際の判断にあたっては最新の内容をご確認ください。

この記事を書いた人

Trade Force 運営チーム

Trade Force 運営チーム

越境 EC セラーのための、AI ネイティブな次世代 OS「Trade Force」の運営チーム。自らも eBay で販売しており、現場の実体験に基づく情報を発信しています。

に内容を確かめました。

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仕入れ、出品、値付け、注文、出荷、英語での返信。このブログを書いている私たちは、その仕事を届くところまで支える Trade Force を作っています。

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