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eBay輸出の目標設定|何を目標に置き、どの前提で逆算するか

この記事の3行要約

  • 目標は金額より先に「何を測るか」を決める。置く数字が変わると、正しい行動も変わる
  • 逆算が成り立つのは前提が自分の数字のとき。他人の利益率を出発点にすると計画ごとずれる
  • 達成できなかった理由は3つに分かれる。目標か、前提か、実行か。対処はそれぞれ違う
目次

はじめに

「月に 10 万円くらい利益が出たらいいな」と思いながら、今日も出品を数品増やす。この状態が半年続いたとして、うまくいっているのかどうかは分かりません。

eBay 輸出の目標設定でつまずくのはここで、判断できないのは目標と行動が逆算でつながっていないからです。目標があるだけでは足りず、目標から今日やることまでが数字でつながって、初めて「足りている / 足りていない」が言えるようになります。

ただ、そのつなぎ方を説明する記事の多くは、いきなり計算から始まります。利益率を何%と置いて、必要な売上を出して、必要な出品数を出す。計算そのものは正しいのですが、その手前に決めるべきことが 2 つあります。

何を目標に置くかと、計算に使う前提をどこから取るかです。この記事は、そこを扱います。

なお、具体的な試算(必要な売上・販売数・出品数・作業時間)は、別の記事で数字を追って書いてあります。この記事を読んだあと、そちらで実際に計算してみてください。

目標がないと、何が起きるのか

目標を持たずに続けている状態には、決まった詰まり方があります。

やったことが評価できない。100 品出品しました、という事実だけがあって、それが多いのか少ないのか判断できません。判断できないので、次に何を変えればいいかも決まりません。改善は、評価の後にしか来ません

目標はあるが、行動と結びついていない。「月 10 万円」という数字はあっても、そのために今月何をするのかが決まっていません。この状態だと、忙しかった月と暇だった月の差が、そのまま結果の差になります。

他のセラーの行動を真似している。同じ商品を扱い、同じ価格をつけているのに結果が違う。原因は、真似た相手と自分で前提が違うことです。出品枠も、作業に使える時間も、仕入れの条件も違います。同じ行動が同じ結果になるとは限りません。

3 つとも、根っこは同じです。自分の数字を持っていないということです。

eBayの目標設定で、まず決めるのは金額ではない

目標というと金額を思い浮かべますが、その前に決めることがあります。何を測るかです。

置く数字が変わると、正しい行動も変わります。同じ努力が、目標の置き方ひとつで正解にも不正解にもなります。
目標に置く数字達成に効く行動見落としやすいこと
月商(売上)出品数を増やす。単価の高い商材を扱う利益が伴わなくても達成できてしまう
利益額仕入れ・送料・手数料を含めて 1 件あたりを厚くする件数が減ると届かない。作業量とは無関係に決まる
販売件数回転の速い商材を選ぶ。価格を相場に寄せる1 件が小さいと、件数が増えても利益が増えない
時給(利益 ÷ 作業時間)1 件あたりの作業を減らす。単価を上げる測るのがいちばん面倒。だから続かない

月商を目標にすると、赤字でも達成できます。逆に利益額だけを目標にすると、作業時間が青天井になっても気づきません。どれが正しいということはなく、今の自分が何に困っているかで選ぶものです。

はっきりしているのは、ひとつに決めることです。3 つ同時に追いかけると、どれかが伸びてどれかが落ちたときに評価できなくなります。

副業なら、時間を必ず片方に入れる

本業がある場合、時間を目標に含めないと計画が破綻します。

利益額だけを見ていると、達成した月の作業時間が 100 時間だったのか 30 時間だったのかが記録に残りません。そして 100 時間の月は、続きません。続かない達成は、達成ではないという見方をしておくと、無理な計画を最初から避けられます。

段階ごとに何が詰まるかは、別の記事にまとめてあります。

何を目標に置くかで、正しい行動が変わる — 月商(売上)(効くのは出品数と単価。ただし赤字でも達成できてしまう)、利益額(効くのは 1 件あたりの厚み。作業時間が青天井になっても気づかない)、販売件数(効くのは回転の速さ。1 件が小さいと件数が増えても利益が増えない)、時給(利益 ÷ 作業時間)(副業ではこれが実態に近い。測るのが面倒なので続きにくい)、追いかけるのはひとつ。3 つ同時だと、伸びと落ちが混ざって評価できない

逆算が成り立つのは、前提が自分の数字のときだけ

測るものが決まったら、次は逆算です。ここでよく失敗が起きます。

逆算は、前提の値を掛けたり割ったりする作業です。利益率、平均単価、成約率、1 件あたりの作業時間。この前提が自分の実態と違っていると、計算が正しくても答えは間違います

そして前提の値は、たいてい他人から借りてきます。記事で見た利益率、誰かが言っていた成約率。借り物の前提で計算した目標は、達成できないのが普通です。

前提は、自分の直近の取引から取る

やることは単純です。直近に売れた数件を実際に計算する。これだけです。

売れた金額から、利益計算に必要なものを全部引きます。落札手数料、国際出品手数料、注文ごとの手数料、送料、資材、仕入れ値、円に替えるときのコスト。残った額が利益で、売れた金額で割れば利益率です。

3 件でも 5 件でも構いません。他人の平均より、自分の 3 件のほうが正確です

実績がまだ無いなら、暫定値を置いて早く置き換える

始めたばかりで実績がない場合は、前提を置くしかありません。そのときのやり方は 2 つです。

低めに置く。甘い前提で立てた計画は、達成できないと分かるのが遅くなります。厳しめに置いておけば、上振れは歓迎できます。

置き換える期限を決めておく。「最初の 5 件が売れたら、前提を実測値に入れ替える」と決めておきます。決めておかないと、暫定値のまま半年が過ぎます。

暫定値は仮の数字なので、それで出た目標も仮のものです。仮であることを自覚したまま動くのは問題ありませんが、仮だと忘れると、達成できない理由が分からなくなります。

成約率という言葉は、2 つの意味で使われています

eBay の Traffic に出てくる成約率は、公式の定義では「販売数量 ÷ 総ページビュー」です(eBay の開発者向けドキュメント)。分母はページビューであって、出品数ではありません。一方で「出品したうちの何%が売れたか」を成約率と呼ぶ人もいます。どちらの意味で使っているかを揃えないと、必要な出品数の見積もりが大きくずれます

目標を、明日の行動に変える

前提が自分の数字になったら、あとは割っていくだけです。順番はこうなります。

  1. 測ると決めた数字で、目標の値を置く
  2. 自分の実測の前提で、必要な売上または販売件数を出す
  3. 販売件数を、セルスルーレートで割って必要な出品数を出す
  4. 必要な出品数を、月に使える日数で割って1 日あたりの数にする

この計算を実際の数字でやると、たいてい最後で止まります。1 日あたりの出品数が、自分の使える時間では回らない数になるからです。

そこで目標を下げるのか、1 件あたりの作業を減らすのか、単価の高い商材に移るのか。この選択こそが、目標設定でいちばん大事な部分です。計算が合わないことは失敗ではなく、選択肢が見えた状態です。

計画の前に、上限を確かめる

割り算をする前に、確かめておくものがあります。それが、出品枠の上限です。

必要な出品数を出しても、枠がそこまで無ければ実行できません。そして枠の引き上げ申請は 30 日に 1 回までとされているので(eBay 公式ヘルプ)、足りないと分かった時点で、必要な月数が確定します

同じように、公開中の出品の数も見ておきます。今いくつ並んでいて、月にいくつ消えていくのか。新規出品が消えていく数に追いついていないと、増やしているつもりで横ばいになります

自分で決められる数字と、決められない数字を分ける

割り算をしたあと、もうひとつやっておくと目標が機能します。出てきた数字を 2 つに仕分けることです。

出品数は、自分で決められます。時間を使えば、その分だけ増やせます。一方で売上は、自分では決められません。買うかどうかを決めるのは買い手だからです。

自分で決められる自分では決められない
月の出品数売上金額
1 件あたりにかける時間販売件数
出す商材と価格帯セルスルーレート
発送までの日数検索結果での順位
問い合わせへの返信の速さ評価が付くかどうか

追いかけるべきなのは、左側です。右側は結果であって、直接動かすことはできません。

これを分けておく意味は、月末にはっきり出ます。左側を達成できていて右側が届かなかったなら、前提のほうを疑えばよい。左側から未達なら、計画の量か時間の問題です。混ぜたままだと、どちらなのか分からないまま「今月もダメだった」で終わります

もうひとつの効用は、気持ちの面です。売上を目標に置くと、買い手の行動に自分の評価が左右されます。出品数を目標に置けば、やったかやらなかったかは自分で決まります。続けるうえでは、こちらのほうが安定します。

自分で決められる数字と、決められない数字 — 自分で決められる(追いかける側): 月の出品数、1 件あたりにかける時間、出す商材と価格帯、発送までの日数、問い合わせへの返信の速さ、自分では決められない(結果): 売上金額、販売件数、セルスルーレート、検索結果での順位、評価が付くかどうか、混ぜたままだと、未達の理由が前提なのか実行なのか分からなくなる

目標は、達成より見直しのほうが回数が多い

目標を立てたあと、そのままにしておくものだと思われがちですが、実際には見直しのほうが頻繁に起きます。

見直すのは、前提が変わったときです。

変わるもの目標への影響
仕入れ値利益率が変わる。同じ売上でも利益が変わる
為替円建ての手取りが変わる
手数料の帯売上が伸びると国際出品手数料の率が下がることがある
扱う商材単価もセルスルーレートも作業時間も、全部変わる
使える時間本業の忙しさで変わる。ここがいちばん頻繁に動く

為替が損益のどこに効くかは、別の記事で扱っています。

見直しの周期は、月に一度で十分です。毎週見直すと、目標が予定に変わってしまいます。月に一度、前提の値を実測で置き換えて、計算をやり直す。それだけです。

なお、eBay 側にも月次の区切りがあります。セラーレベルは毎月 20 日に評価されると公式に記載されているので(eBay 公式ヘルプ)、この前後を自分の見直しのタイミングに合わせておくと、確認する対象がまとまります。

未達だったとき、どこを疑うか — 計画した行動量を実行できたか(ここから見る。実行できていないのに前提を疑っても答えは出ない)、実行できて届かなかった → 前提のずれ(利益率・単価・セルスルーレートを実測で置き換えて計算し直す)、実行できなかった → 時間か手順(1 件あたりの工程を短くするか、計画の数を下げる)、どちらも正しくて届かない → 目標が高い(下げるのは後退ではない。届く目標で達成を重ねてから上げる)、「頑張りが足りなかった」で片づけると、翌月も同じ結果になる

達成できなかったとき、どこを疑うか

未達のときに「頑張りが足りなかった」で片づけると、翌月も同じ結果になります。理由は 3 つに分かれていて、対処がまったく違います。

目標が高すぎた。前提も実行も正しかったのに届かなかったなら、置いた数字が現実的でなかっただけです。この場合、下げることは後退ではありません。届く目標を置き直して、達成の経験を作るほうが次につながります。

前提が違った。計画どおりに出品したのに売上が届かなかったなら、利益率かセルスルーレートか単価のどれかが、実態とずれています。実測で置き換えて、計算をやり直します

実行できなかった。計画した出品数に届かなかったなら、原因は時間か手順です。1 品あたりの工程を短くするか、計画の数を減らすかになります。

計画どおり動けた

  • 届いた → 前提も目標も合っている。次はどこを伸ばすかを決める
  • 届かなかった → 前提が実態とずれている。実測で置き換える

計画どおり動けなかった

  • 時間が足りなかった → 1 件あたりの工程を短くする
  • 気力が続かなかった → 計画の数が現実的でない。下げる

見分け方は簡単で、計画した行動量を実行できたかどうかをまず見ます。実行できていないのに前提を疑っても、答えは出ません。

続ける条件と、やめる条件も先に決めておく

目標とセットで決めておくと楽になるものが、もうひとつあります。どうなったら方針を変えるかです。

決めていないと、うまくいかない商材をずるずる続けることになります。逆に、少し不調が続いただけで全部やめてしまうこともあります。どちらも、判断の基準を持っていないから起きます。

決めておく形は単純です。

  • この商材を続ける条件。「3 か月で 1 件も売れなければ、その商材は仕入れない」のように、期間と結果で決める
  • 価格を見直す条件。「閲覧はあるのに 1 か月売れなければ、相場を確かめて 1 回だけ下げる」
  • 在庫を処分する条件。「仕入れから 6 か月動かなければ、損益分岐点を割っても現金化する」

数字は自分の回転に合わせて決めてください。大事なのは値そのものより、先に決めておくことです。売れない商品を目の前にしてから判断すると、仕入れ値を惜しむ気持ちが判断に混ざります。

これは目標を諦めるための条件ではなく、目標に使う資金と時間を、効かないところから引き上げるための条件です。

他のセラーの数字を、そのまま使えない理由

最後に、いちばん多い失敗について書いておきます。

うまくいっているセラーの扱う商材、価格、出品ペースを真似する。これ自体は悪くありません。問題は、前提まで一緒に借りてしまうことです。

出品枠が違えば、同じ商材でも並べられる数が違います。作業に使える時間が違えば、回せる件数が違います。仕入れの条件が違えば、同じ価格でも利益が違います。在庫回転の速さも、資金の余裕で変わります。

真似していいのは行動であって、数字ではありません。行動を真似したうえで、前提は自分のもので計算し直す。ここを分けておくと、「あの人にできて自分にできない」ことを、能力の差ではなく前提の差として見られるようになります。

目標を、見る回数が増える場所に置く

立てた目標を、月末まで一度も見ない。これが実際にはいちばん多い失敗かもしれません。

目標は、見た回数だけ行動に効きます。月初に決めて月末に答え合わせをするだけなら、途中の 4 週間は目標が無いのと同じです。

やることは 2 つだけです。

書く場所を、毎日開くところにする。出品作業をする画面の近く、あるいは作業を始めるときに必ず見るメモです。凝った管理表は要りません。今月の出品目標と、今日までの実績。この 2 行で足ります。

週に一度、行動量だけを確かめる。見るのは前の節で分けた「自分で決められる側」だけです。売上は週単位では揺れが大きく、見ても判断できません。週次は行動、月次は結果と分けておくと、無駄に一喜一憂せずに済みます。

そして月に一度、前提を実測で置き換えて計算をやり直す。この 3 段構えが回れば、目標は書いた瞬間から使われ続けます。

前提を更新する作業が、半日かかっていないか

前提を実測で置き換える、と何度か書きました。これは自分の数字がすぐ取り出せることが前提の作業です。

利益率を出すには、売上と手数料と仕入れ値と送料が要ります。これらが注文の画面、明細、スプレッドシート、レシートに散らばっていると、前提を 1 つ更新するだけで半日かかります。半日かかる作業は、月に一度でも続きません。

私たちが開発している Trade Force は、商品・在庫・出品・注文・発送・売上をひとつの画面で管理する定額制の OMS(受注管理システム)です。

期間を指定すると、販売数・注文数・売上金額・手数料・返金額・入金額が確認できます。先月の実績から前提を作り直す作業が、画面を開くだけで済みます

利益計算では、販売額・送料・為替・手数料率・仕入価格から利益と利益率が出ます。為替レートと販売手数料率は組織の設定を初期値として読み込むので、前提が画面ごとにばらつくことがありません

まとめ

目標設定は、金額を決めることではありませんでした。

  • 金額より先に、何を測るかを決める。月商・利益・件数・時給で、正しい行動が変わる
  • 追いかけるのはひとつ。3 つ同時だと評価できなくなる
  • 副業なら時間を片方に入れる。続かない達成は達成ではない
  • 逆算の前提は、他人の平均ではなく自分の直近の取引から取る
  • 実績がないうちは低めに置き、置き換える期限を決めておく
  • 割り算の最後で止まったら、そこが選択の場所。目標か、作業か、商材か
  • 出品枠は上限になる。申請は 30 日に 1 回なので、足りない時点で必要な月数が決まる
  • 見直しは月に一度。前提が変わったときに、計算をやり直す
  • 未達の理由は 3 つ。目標か、前提か、実行か。まず行動量を実行できたかを見る

今月の直近 3 件を、実際に計算してみてください。そこで出た利益率が、あなたの逆算の出発点になります。

よくある質問

Q1.

目標は月単位と年単位のどちらで立てるべきですか

A1.

月単位で始めることを勧めます。年単位だと、途中で前提が変わったときに立て直しが大きくなりすぎます。

年単位の目標を持ちたい場合は、月の目標を積み上げた結果として置く形にしてください。先に年の数字を決めて 12 で割ると、季節の波を無視した計画になります。

Q2.

複数の商材を扱っている場合、目標はどう分けますか

A2.

商材ごとに分けるより、全体でひとつにするほうが動きやすくなります。商材ごとに目標を持つと、伸びている商材の余りで足りない商材を埋める判断ができなくなります。

分けるとしたら目標ではなく、振り返りのときの内訳です。全体の目標に対して、どの商材がどれだけ寄与したかを見る。そのうえで、寄与していない商材を続けるかどうかを決めます。

Q3.

計算したら、必要な出品数が現実的でない数になりました

A3.

それは計算が正しく働いた結果です。今の商材と価格帯では、その目標に届かないことが分かった状態です。

選べるのは 3 つです。目標を下げる、1 件あたりの利益が大きい商材に移る、1 件あたりの作業時間を減らす。このどれを選ぶかを決めることが、この計算の目的でした。

Q4.

目標を下げるのは、諦めることになりませんか

A4.

届かない目標を置き続けるほうが、続かなくなる原因になります。毎月未達が続くと、数字を見ること自体をやめてしまいます。

届く目標で達成を重ねてから上げていくほうが、結果として遠くまで行けます。下げた目標に届いたら上げるというルールを先に決めておけば、下げることが後退にはなりません。

Q5.

売れない月が続いたときも、目標は変えないほうがいいですか

A5.

まず、なぜ売れていないのかを切り分けてください。目標の問題ではなく、露出や出品数の問題かもしれません。

原因が自分の外にある(季節や競合)場合は、目標を下げるよりその月を整える時間に使うという選び方もあります。

この記事を書いた人

Trade Force 運営チーム

Trade Force 運営チーム

越境EC向け販売管理ツール「Trade Force」の運営チーム。自らも eBay で日本のトレーディングカードを販売しており、現場の実体験に基づく情報を発信しています。

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